毎日行きたくなる介護施設?! 機能訓練に加え、DIYやネイルなど多種多様な時間を過ごせる“次世代型”

利用者は挑戦したいプログラムの札を自由に選び、自分好みに一日を過ごすことができる

 埼玉県内最大規模の通所介護施設として昨年11月、越谷市大成町に誕生した「AIAI(アイアイ)レイクタウン」。1日当たり最大200人が利用でき、フィットネススタジオやゴルフシミュレーター、シアタールームやキッチンスタジオなどの本格設備が整う。介護が必要となる前から「毎日行きたくなる場所」をモットーに、デイサービスを能動的かつ活動的に利用してもらうことで、心身機能の向上や生活環境の改善を目指す次世代型施設に注目が集まっている。

■過ごし方は自由

 「コロコロコロ、カコーン」。屋外トラックでグラウンドゴルフを楽しんだ地元の80代女性。「最後にホールインワンを決めたのよ」と人生2度目のラウンドを満喫した様子。吉川市の70代男性はパン作りに初挑戦し、「やってみたら意外と楽しかった。妻にも自慢できるかな」と凛(りん)とした表情で語った。

 施設は従来の機能訓練や入浴介助サービスに加え、利用者が趣味に没頭した時代を思い出したり、長年やってみたかったことにも挑戦できるよう社交ダンスやDIY(日曜大工)、ニット工芸や美容(ネイル)など約100種類のプログラムを用意。参加するのもしないのも本人の意思で自由に選択することができる。

■社会的自立支援を

 従来の介護現場では施設側がメニューや時間帯をあらかじめ決めてしまいがちで、時には気が乗らないサービスや望まないタイミングで介護を受けざるを得なかった。「必要かもしれないけど行きたくない」と利用者の足が遠のく原因にもなっていた。そんな声に長年向き合う中で「支える側が主導権を握るのではなく、本人の選択を尊重し伴走する環境を当たり前のように整えていきたい」と池野玄太センター長(48)は設立の意義を話す。

 現在、越谷市内を中心に隣接市町から約30~40人が日々利用している。介護施設の企画設計に詳しいコンサルタントの石角卓さん(75)は「高齢者の健康的な生活の維持には身体機能以上に物事に対するモチベーションが大切。同じコンセプトの施設は全国でも数例しかない」と今後の利用拡大に期待を寄せる。

 池野センター長は「私たちが目指すのは利用者の社会的自立支援。可能な限り在宅生活を続けさせてあげたい」と優しくほほ笑む。介護サービスを受けることは人生の終焉(しゅうえん)ではない。「第二の人生のスタートとして新たな自分を発見する場になれれば」と話している。

 施設見学などの問い合わせは、AIAIレイクタウン(電話048.988.7771)へ。

自宅でも再現しやすい料理教室のプログラム。筋力維持にも役立つという

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