北電 脱炭素化へ再エネ導入拡大

今回のけいナビの特集は、北海道電力の脱炭素化の取り組み。従業員数はグループ全体で約1万人、総資産2兆円を超える巨大企業が、2050年のカーボンニュートラル実現へ動き出している。

目的達成のために大事なことが2つ。火力発電所から出るCO2の削減と、再生可能エネルギーの導入拡大だ。

詳しく知るために北電本店を訪れた番組MCの杉村太蔵さんは、火力部の担当者からCO2の分離回収の実証事業を進めていることを聞く。それと並行して各火力発電所では、DX化による事業の効率化も進めているという。

もうひとつの取り組みが、再生可能エネルギーの導入拡大。北電は2030年度までに、風力を中心に30万キロワット分を積み増す計画を立て、ほかの企業とも連携しながら事業規模の拡大を図っている。

そうした取り組みの一環として昨年11月に運転を開始したのが、道南の森町にある森バイナリー発電所だ。

バイナリー発電とは、水よりも沸点の低い媒体から蒸気を取り出してタービンを回し発電する手法で、国内でもそれほど事例は多くない。出力は2000キロワットで、年間の発電量は一般家庭4000世帯分に相当する1000万キロワット時に上るという。

苫東厚真発電所の近隣では、来年4月の稼働を目指し木質ペレットを燃料としたバイオマス発電所の建設も進む。同社再生可能エネルギー開発推進部は、今後も風力、地熱といった再生可能エネルギーを順次増やす考えを示す。

一方で気になるのが、火力発電所の今後と泊原発の再稼働だ。その点について杉村さんは同社の世永茂常務にインタビュー。世永常務は、火力発電所は縮小する方向だが、発電量が天候に左右されやすい再生可能エネルギーの調整用電源として一定程度は残す必要があると強調。泊原発については、発電効率が良くCO2も出さないことから安全面に最大限配慮しつつ、運転を再開する考えを示した。千歳に進出する次世代半導体・ラピダスの工場進出については、「大きな電力需要が生まれ、北電にとってもチャンスだ」とした。

火力、原発、再生可能エネルギーのどれかひとつに頼ることなく、環境に負荷をかけずにいかに安定供給していくか。杉村さんは「今後の電力需要に北電がどう対応していくのか注視したい」と話した。

(2024年1月27日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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