大阪湾を藻場で豊かに、大阪府と兵庫県が「MOBA」を始動

二酸化炭素を吸収、貯留する「ブルーカーボン生態系」のひとつ「藻場」。高度経済成長期の開発や埋立などが原因で大阪湾からほとんどなくなった「藻場」を再生せる『大阪湾ブルーカーボン生態系アライアンス(略称:MOBA)』を大阪府・兵庫県らが設立し、会員募集を始めたことが1月24日、府の定例会見で発表された。

定例会見のフリップより「豊かな大阪湾の実現に向けて」について (1月24日・大阪府庁)

「ブルーカーボン生態系」とは、アマモなどの海草やワカメ・コンブなどの海藻が育つ藻場や干潟(ヒガタ)などで生きる海洋生物による生態系。これらの面積が大きくなることで水質が改善されるだけでなく、魚類などが産卵する生育の場にもなる。

大阪湾の藻場は、1991年に287haだったのが2021年には84ha(推定値)に減少。府ではすでに、この藻場を創出するため大阪湾沿岸をブルーカーボン生態系の回廊でつなぐ「大阪湾MOBAリンク構想」に取り組んでおり、今回これを加速するためにMOBAを設立し、賛同者を募るという。

会見で吉村洋文知事は、「神戸の西から淡路島を通って、ぐるっと回り、大阪の南部から関西空港まで、藻場でひとつのリングを作っていく。関西エアポートなども藻場づくりには非常に積極的。豊かな大阪湾の実現に向け、関係機関、団体、民間企業、大学など多く参加いただきたい」と呼びかけた。

また『大阪・関西万博』に向けて、「会場周辺海域においても藻場を創出し、民間パビリオンや大阪ウィークなどで国内外に豊かな海を作ることが大切ということを発信する予定。2030年までには湾奥部(貝塚市から神戸市東部)の護岸に拠点となる藻場を複数創出させ、2050年には大阪湾全体を豊かな藻場にしたい」と話した。

取材・文・写真/岡田由佳子

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