「動かないでくれ!」ガラスが降り注ぐ高齢者施設 断水が続き「入浴をさせてあげられなかった」

テレビ愛知

輪島市にある高齢者複合施設「福祉の杜わじま」の峰岸洋介施設長に、震災後の様子を聞きました。施設は沿岸から約2キロに位置します。地震発生時は…

福祉の杜わじま 峰岸洋介施設長:
「防煙垂れ壁という上から火災の時に煙を防ぐガラスの壁がある。それがかなり割れて、上から(ガラスが)降ってくる状態だったので、利用者には『動かないでくれ!』と叫んでとどまってくれと言った」

揺れが収まった後、大津波警報が出ました。入所者全員を2階へ移動させようとしましたが…

福祉の杜わじま 峰岸洋介施設長:
「全ての扉が吊り戸だったので、開く扉と開かない扉があった。開かない扉は強引に開けた。特別養護老人ホームの人は、歩ける人は本当に限られている。急いでいる関係でベッドごと(部屋の外に人を)出した人もいた」

入所者は約90人。そのうち2人がケガをしました。家が全壊した職員もいて、入所者に対応できる職員の数は、40人から30人程度にまで減ったといいます。

福祉の杜わじま 峰岸洋介施設長:
「限られた人員で限られた空間で(入所者に)対応するのは限界がある。介護や生活は最低限のことしかできなかった」

電気やガス、水道は止まったままの状態が続きました。

福祉の杜わじま 峰岸洋介施設長:
「電気が使えないので、何かするにしても昼の間に限られるというのが大変苦労した。食事も真っ暗なところでは食べられないので、午前9時と午後3時で時間を決めて1日2回という形で。水は今でも来ていない。入浴もできないし、全員が全員、体を拭けたかは難しいところでした」

施設では入所者を順次、金沢市や小松市などにある別の施設に移送。1月23日に全員の移送が完了しました。

福祉の杜わじま 峰岸洋介施設長:
「ここにいて衰弱していくよりも、暖かく入浴出来るところで生活できる方が、こちらも安心。今後どうしていくかは頭を悩ますが、気持ちだけは前向きに復興に向けて頑張っていきたい」

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