「肉や骨は行き先は決まっているが…」鉄砲の穴も開いている⁉シカの革でメガネケースを作るワケ【しずおか産】

<大石勝博ディレクター>
「犬や猫、たくさんの種類のキャラクターが並んでいます。これはメガネに関するアイテムで、生産数は日本でも指折りです」

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浜松市の栄商会は、メガネのケースやクロスなどを扱う会社で、制作したアイテムは、約650種類にもなるんです。

<栄商会 藤田悦子さん>
「スマホに取り付けられるクリーナーで、お腹で画面が入っていて、口の中に、メガネ拭きが入っていて、引っ張ると元に戻る商品です」

国内シェアは50%。この会社が2024年、新しい「しずおか産」を作りました。

<栄商会 藤田悦子さん>
「今回はシカの皮を使って作ってみました」
「肌触りもよくて、きれいな色をしている」
「実は、地元の山のシカの皮なんです」

メガネケースでシカの皮が使われるのは、珍しいんだそうです。

<八十八農園 藤江正八さん>
Qきれいなシイタケじゃないですか?
「時間はかかりますが、肉はしまって、たくさんとれますね」

浜松市の山でお茶やシイタケを育てる藤江正八さんです。丹精に育てた作物の様子を見に来ましたが、ほだ木の周りに網を張るなど対策をしても、シカが入り食べてしまいます。

<八十八農園 藤江正八さん>
「数が増えている、どんどん南下して奥の山にいたシカが里に下りてきている。これが現実ですね」

<福澤郁子さん>
Qいろいろ穴が開いていますが、この穴は何になりますか?
「これ、たぶん鉄砲だと思います」
Q猟をしたときの?
「そうですね」

地元の猟師からシカの皮を受け取っている福澤郁子さんです。猟師が仕留めたシカは、解体されますが、ジビエ料理に使われる肉と違い、皮は大切に扱われなかったそうです。

<福澤郁子さん>
「かなりの量が廃棄されていると思います。家畜と違って、年齢がいろいろ、オスやメスといろいろ。ものを作るための革にするタンナーさん、鞣し業者がいるがそこでもハードルがあって、普通は野生の皮とかはやってもらえない」

<栄商会 藤田悦子さん>
「肉や骨は行き先は決まっているが、皮の行き先がないと聞きましたので、地元のものなので、協力できればと思って」

メガネケースにこれまで使われてきた牛革素材は肌ざわりはいいですが、ごわごわして硬く、はりや反発があります。一方、シカの革は…

<栄商会 藤田悦子さん>
「紙ではないですが、すごく曲がります。とてもしなやかだと思います。手になじみやすい、水にも強いということもありますので、吸湿性が高いので、日本の湿度にあっているというところもよい」

柔らかいことから、加工しやすい点も大きなポイントです。

<栄商会 藤田悦子さん>
「身近なものになりますので、いつも手もとにおいておける。そして、見ることによって、シカの問題があるということを皆さんに知っていただきたい」

地元が抱える悩みを便利なアイテムで解決した新しいしずおか産の誕生です。

今回、取り上げたシカの革ですが、そもそも昔から使われていて、弓道やパイロットなどの人が身に着ける手袋をはじめ、重宝されています。現在はシカやイノシシが増えたことで、その皮革商品も少しずつ出回るようになっているということです。

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