ドバイでパーティ中の隣人に「静かにして」と注意した男性、刑務所へ

アラブ首長国連邦のドバイで、孫娘の子守をしていたイアン・マッケラーさん(75)が不当な罪で刑務所に収監されることになったとDaily Mail Onlineが報じている。

Daily Mail Onlineによると、マッケラーさんと妻は年末年始にかけて、ドバイに引っ越したばかりの娘の家に滞在していた。娘の仕事が軌道に乗るまで、1歳半の孫娘の面倒を見るためだったそうだ。年が明けた1月1日の午前1時頃、隣人のニューイヤーパーティーの騒音で1歳半になる孫娘が起きてしまった。娘も仕事で早朝5時半に起きなくてはならかったため、声や音楽のボリュームを下げるよう隣家に頼みに行ったという。

ドアをノックしても誰も出てこなかったが、玄関脇の道から庭の方をのぞくと、談笑する隣人とゲストが見えた。孫を抱っこしたマッケラーさんがパーティ会場へ近づき、音楽の音を下げるか、パーティを屋内で行ってほしいと頼んだところ、隣人たちは声を抑えるどころか激昂。

ある者はマッケラーさんを後ろから小突き、ある者は携帯電話で撮影を始め、ある者は孫娘の哺乳瓶を取り上げて地面に叩きつけたという。

数人のゲストが仲裁に入り、立ち去るようマッケラーさんに促したが、パーティーのホストを務めていた隣人は怒鳴り、赤ちゃんを抱くマッケラーさんに飲み物を投げつけてきたそうだ。

マッケラーさんは隣人たちの行為を「容認できない」として警察に通報しようとしたが、隣人との関係悪化を恐れた娘にやめるよう懇願されたため断念したそうだ。しかし、隣人がマッケラーさんに不法侵入されたと被害届を提出し、警察当局はマッケラーさんを拘束。刑務所に収監されることになってしまったという。

人権擁護団体「Detained in Dubai」のCEOラダ・スターリングは、マッケラーさんの地元のアンドリュー・ボウイ議員と協力し、彼を釈放させるよう働きかけている。

「ドバイでは、通報される恐れがある場合は先手を打って被害届を出すことがスタンダードなのです。検察は先に被害届を出した方の味方をする傾向があるからです。今回のような状況に陥った外国人が、訴えを取り下げさせるために告発者に金銭的補償を申し出るケースも多いんですよ」とスターリング氏はDaily Mail Onlineにコメント。

マッケラーさんは1月10日に帰国予定だったが、現在も拘留されたままだ。

「ドバイへのちょっとした旅行だったはずが片道切符になってしまう……そんなことを私たちは何度も見てきました。このままでは、イアンは人権侵害で悪名高い刑務所に送られてしまいます」(スターリング氏)。

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