“無関心”が最大の復讐になる?失恋した女性が気づいた「本当の終わり」

片思いでも恋人でも、好きな人に別れを告げられることは本当に悲しいですよね。

恨んでも憎んでも相手の気持ちは戻らず、自分だけが復縁を望んでいるようなその後もつらいですが、こんな未練はいつ終わるのでしょうか。

ある女性は、失恋の痛みが消えたときの自分について大きな発見があったといいます。

女性は何に気がついたのか、ご紹介します。

喧嘩ばかりだった彼と別れて

圭子さん(30歳)は、結婚も視野に入れてお付き合いしている彼氏がいましたが、交際は一年で破局しました。

最後の喧嘩のときに「いろいろ押し付けがましいのがしんどい」と言われ、一方的にLINEや電話をブロックされて終わったそうです。

「振り返ると、いつも私が尽くしていたというか、彼は不機嫌になると何日も音信不通になるのでそれが怖くて機嫌をとっていました。

私と意見が合わないとすぐヘソを曲げるし、喧嘩ばかりでしたね」

疲れた表情で言う圭子さんですが、「年齢的に結婚のことが頭から離れなくて、この人でも何とかしなければ、と自分を追い詰めていた気がします」と当時の焦りにも今は気づいています。

「押し付けがましい」と言われたことが心底ショックだったという圭子さんは、連絡の手段がなくなっても「自分が変われば大丈夫」とどこかで思っていたそう。

「はっきり嫌いとか好きじゃなくなったとか言われなかったことが、未練を引きずる理由だったと思います」

そう思っていましたが、結局彼が拒否の設定を解除することはなく、そのまま半年が経とうとしていました。

何のために復縁するの?

「きっかけは、会社に大好きな先輩がいてその人とふたりで飲んでいたときに、彼への未練を愚痴っていたら『何のために復縁するの?』と聞かれたのが最初でした。

『ささいなすれ違いでもすぐ不機嫌になるような男って、あなたが変わっても今度はそれにケチをつけてくるよ』と冷静に言われて、そんな彼の様子がすぐ浮かんで、『あ、本当だ』と変に納得したというか……」

以前と態度の変わった圭子さんを見ても、彼のほうは新しい難癖をつけてまた機嫌を取らせようとするだろう、「何のために復縁するのか」と考えたときに圭子さんは

「結婚を諦めたくない自分がいて、要は彼をコントロールしたかったのですよね、私の期待通りになってほしいと思っていて、彼の気持ちを正面から考えていませんでした」

と、復縁した後のふたりをやっと冷静に想像することができたそうです。

それから、「よりを戻してもきっと同じことの繰り返しだ」と気が付き、彼のことは諦めようと決意します。

でも、今度は最後の喧嘩で一方的に私を悪く言って絶した彼への怒りが湧いてきて苦しかったそうです。

昔のふたりに戻りたい未練が消えたとき、最後に見た彼の姿に改めて嫌悪感が生まれ、次はないがしろにされた自分に苦しむのは、よくあることです。

「連絡したいとも思わないし二度と会いたくないともはっきり言えるのですが、何ていうか『許せない』って気持ちばかり強くなって、何で私がこんな苦しまないといけないのかって、彼を恨みましたね」

気がついた自分の状態

別れた彼のことは共通の知り合いがいないためその後の情報がまったくなく、それが立ち直ることにプラスだったのは確かですが、それでも、「過去の彼」に振り回される自分がつらかったと圭子さんは振り返ります。

「ひとりで過ごしている夜とか、彼に電話して文句を言ってやりたい衝動とか湧いてきて、大変でした。

拒否設定されているのでつながらないだろうけど、今の怒りをぶつけて傷つけてやりたい気持ちがあって、そんな自分にまた嫌になって、気を紛らわせるために友人に連絡をしていましたね……」

相手が不在のまま、自力で消化しないといけない怒りは、扱いを間違えるとかえって自分を追い詰めます。

そんな圭子さんを救ってくれたのもまた、会社の先輩でした。

「その頃はまた先輩にLINEで愚痴っていて、未練じゃなくて何とかして忘れたいけれどどうすればいいかわからない、と繰り返していました。

先輩は『自分もそういう過去があるからわかるよ』と言って、ずっと聞いてくれたことには今も感謝するばかりです。

あるとき、ちょうどバーゲンをしているからと買い物に誘ってくれて、ふたりで百貨店に行きました」

バッグを新調したいと思っていた圭子さんは、以前目をつけていたものが安くなっていることを知って大喜びで購入し、ついでにかわいらしいヒールの靴も買えて大満足だったといいます。

「一緒にいた先輩はジーンズを買っていたのですが、買い物が終わってお茶しているときに『今度はそれを履いてご飯を食べにいこうね』と言ってくれて、楽しみだしうれしいなと思いました。

『今は彼のことなんて忘れているでしょ』とふと言われて、ハッとしました」

彼のいない先の約束に何とも思わない自分、そして彼のことが頭にない状態で買い物を楽しめる自分に気がついたとき、圭子さんは

「彼に無関心になっている状態が自分には足りなかったとわかりました」

と、意識を変えることを思いついたそうです。

霧が晴れた心で

別れた元恋人のことをいつまでも心に留め、憎しみを募らせる状態は視野を狭くします。

いまバーゲンの季節だったことも忘れていたという圭子さんは、外の世界を目にしてやっと、元彼について無関心でいられる時間の大切さがわかりました。

もし元彼に未練があれば、何をしていても思い出すし新しいものを手に入れても満足は得られません。

そうではなく、「彼のことを思い出さない状態の自分こそ正解なのだ」と理解すれば、そんな時間を多くすることが今の自分に必要なのだと気が付きます。

「何ていうか、彼を考えない自分でいろんなことを楽しめるのがすごく幸せだなと思いました。

家に閉じこもっていたらどうしても悪い記憶ばかり蘇ってくるし、やり直す気がないのならさっさと忘れるのが当たり前なんだって、今さら思って」

と、圭子さんはそれから外出する時間を増やしたそうです。

先輩や仲のいい友人たちと過ごし、元彼以外の話題で盛り上がり、そうやって新しい情報を手に入れていくことで元彼は本当の過去になっていきます。

カラオケで歌いたい曲を覚えることを楽しみながら、圭子さんは「心の霧が晴れたような状態でした」と、笑顔を浮かべました。

「無関心」が最大の復讐になる

言い方は物騒ですが、自分をないがしろにした相手にする復讐は「無関心」が最大の成功だと筆者は考えます。

過去の相手に取りつかれていつまでもネガティブな状態でいることは、裏を返せば相手の意図に従うのと同意で、自分だけが苦しみます。

意趣返しのように「あなたがいなくても幸せな自分」を相手にアピールしようとする人もいますが、そんな気持ちこそ未練であり、相手にとっては「まだ自分を忘れていない」という事実にしかなりません。

無関心は、嫌悪を向けるよりまだ強い拒絶であって、「いてもいなくても同じ」となるのが本当の終わりです。

相手が今自分のことをどう思っているのかわからなくても、自分に対して同じく無関心であっても、相手の状態とは関係なく自分から境界線を引いていくのが自立ですよね。

圭子さんは、嫌悪や憎しみを抱え続けるのではなく「いなくて当然」の自分を改めて受け入れることで元彼への執着を断ち切りました。

あらゆる感情を向けずに済むのが無関心の正体で、それが自分の心を前向きにするのですね。

好きだった相手と嫌な終わり方をすれば、どうしても嫌悪感は生まれるし縁が切れても憎しみが残ります。

そんな状態が健全といえるはずがなく、無関心でいられる自分を手に入れることが失恋から立ち直る最後の姿。

本当の終わりは正しく境界線を引けることなのだと、忘れずにいたいですね。

(mimot.(ミモット)/ 弘田 香)

© ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社