トヨタGR、WRC王者オジエ&ロバンペラ監修の『GRヤリス』特別仕様車を発表。各100台が抽選販売へ

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は1月25日、今月開催された東京オートサロン2024の会場で初公開したばかりの進化型トヨタGRヤリスをベースにした特別仕様車『GRヤリス RZ“High performance・Sébastien Ogier Edition(セバスチャン・オジエ・エディション)”』と、同『GRヤリス RZ“High performance・Kalle Rovanperä Edition(カッレ・ロバンペラ・エディション)』を発表した。

 1月25~28日にモナコと南仏を舞台に開催される、2024年WRC世界ラリー選手権第1戦モンテカルロの会場で初披露されたふたつの特別仕様車は、それぞれ100台限定で発売される予定となっている。

 2023年の東京オートサロンで、当時コンセプトモデルとして初公開された2台のGRヤリスが、約1年のときを経て正式発表された。このふたつのモデルは、「ラリーの現場でクルマを鍛え、成長させてくれるドライバー、その機会を与えてくださるすべてのチーム、主催者を含む関係者の皆さま、そして、ファンの皆さまへ敬意と感謝を伝えたい」という、モリゾウこと豊田章男トヨタ自動車会長/TGR-WRT会長の想いの下で開発が行われ、ともにトヨタのワークスチームであるTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)に所属する、ふたりのWRCチャンピオンによって監修された特別なGRヤリスだ。

 車名にもその名が入るセバスチャン・オジエは、シリーズ6連覇を含む都合8回のワールドチャンピオン。現役ドライバーのなかでもっとも多くのタイトルを積み重ねてきたレジェンドであり、トヨタでは2020年と21年に栄冠を掴んだ。もうひとりのチャンピオンは、若き“フライング・フィン”ことカッレ・ロバンペラだ。彼は当時22歳だった2022年に史上最年少でドライバーズタイトルを獲得すると翌23年に2連覇を達成し、早くも複数回チャンピオンの仲間入りを果たしている。

両モデルともWRCチャンピオン獲得を記念した“WRC優勝記念デカール”を左右のフロントフェンダーに装着する

 そんなチャンピオン2名からフィードバックを受け、ベースモデルから内外装や四躯制御が変更されている限定モデルでは、TGRのロゴ加飾をはじめ、WRC優勝記念デカールや記念バッジ、BBS製アルミホイール、各Editionロゴなどの共通した追加装備が奢られつつ、それぞれのこだわりにより個性も生み出されている。

 マットステルスグレーの外装色をまとう“オジエ・エディション”は、新開発のCFRP製軽量ラリースポイラーや脚元のブルーキャリパーが特徴的。フランス国旗がグリル加飾やホイールに見られるのも同仕様ならではで、内装のステアリングステッチもトリコロールカラーとなっている。

 また、トヨタ純正スポーツ4WDシステム『GR FOUR』のモードには“NORMAL”と、前輪の旋回性を確保しながら後輪の駆動力による車両コントロールを可能にするため、後輪よりの前後駆動力配分とした“SEB.モード”に加え、モリゾウが走り込んで導き出した駆動力配分をオジエが気に入ってたことで採用に至った“MORIZOモード”が設定された。

マットステルスグレーのボディカラーが採用されたセバスチャン・オジエEdition
ステアリングのステッチは出身国の国旗の色に合わせて変更されている。左上がオジエEdition(フランス)、右下がロバンペラEdition(フィンランド)

■成約者にはトヨタWRCチームに関連する特別体験プログラムを提供

 一方のロバンペラ・エディションは、彼のヘルメットデザイナーによるデザインを採用し、ホワイト×ブラック×レッドの三色塗装のカラーリングに。スポイラーはGRヤリス GRMNにも装着されるCFRP製可変ウイングを採用する。内装ではステアリングステッチに加え、シートやシフトブーツ、パーキングブレーキカバーに、フィンランド国旗をイメージさせるブルー×グレーステッチが施される。

 4WDモードセレクトスイッチは“NORMAL”のほか、WRCドライバー監修特別仕様車専用の“KALLEモード”と“DONUT(ドーナツ)モード”を設定。前者は追加装着した等速リヤディファレンシャルを最大限活かす制御により、リニアな挙動特性を実現するもの。後者はドリフト走行やドーナツターンが得意なロバンペラのために、ドリフト時のスライドコントロール性を確保した仕様だ。

 前述のとおり各100台が販売される2種類の特別な『GRヤリス』は、抽選開始に先駆け、2月15日(木)から18日(日)に愛知県名古屋市の名古屋駅JRゲートタワー前広場にて展示される予定となっている。

 なお、GRヤリス特別仕様車“オジエ・エディション”または、“ロバンペラ・エディション”の成約者には特別記念品が贈呈されるほか、WRC参戦車両への氏名掲示、最終戦ラリージャパン会場でのガレージ見学、スペシャルステージ(SS)観戦といった特別体験プログラムが提供されることもあわせてアナウンスされている。

■両特別仕様車の主な追加装備

オジエ・エディション ロバンペラ・エディション

外装 ・マットステルスグレー ・ロバンペラEdition専用色(三色塗装)

・WRC優勝記念デカール(フロントフェンダー左右) ・WRC優勝記念デカール(フロントフェンダー左右)

・フロントラジエーターグリル加飾(フランス国旗) ・等速リヤディファレンシャルギヤ

・BBS製アルミホイール(18×8J)+フランス国旗
+TOYOTA GAZOO Racingロゴ加飾 ・BBS製アルミホイール(18×8J)
+TOYOTA GAZOO Racingロゴ加飾

・ブルーキャリパー ・TGRデカール(ドア左右/リヤバンパー)

・TOYOTA GAZOO Racingデカール(ドア左右) ・ロバンペラEditionロゴ(バックドア)

・オジエEditionロゴ(バックドア) ・リヤスポイラー(可変ウイング/CFRP製)

・軽量ラリースポイラー(CFRP製)

内装 ・WRC優勝記念バッジ(助手席) ・WRC優勝記念バッジ(助手席)

・専用GR Full TFTメーター表示
(MORIZOモード/SEB.モード) ・専用GR Full TFT メーター表示
(KALLEモード/DONUTモード)

・ステアリングステッチ(ブルー×グレー×レッド) ・ステアリングステッチ(ブルー×グレー)

・グレーステッチ
(シフトブーツ・パーキングブレーキカバー・シート) ・ブルー×グレーステッチ
(シフトブーツ・パーキングブレーキカバー・シート)

機構 ・4WDモードセレクトスイッチ オジエEdition専用制御
(NORMALモード/MORIZOモード/SEB.モード) ・4WDモードセレクトスイッチ ロバンペラ Edition専用制御
(NORMALモード/KALLEモード/DONUTモード)

4WDモードセレクトスイッチ。オジエEdition(左)はNORMAL/MORIZO/SEB.モード、ロバンペラEditionはNORMAL/KALLE/DONUTモードを備える
助手席前のインストルメントパネル部分に装着されたWRCチャンピオン獲得記念プレート。上段がオジエEdition、下段がロバンペラEdition
新開発の軽量ラリースポイラーが装着されたオジエEdition(左下)。ロバンペラEdition(右上)には可変式のウイングが取り付けられる
カッレ・ロバンペラEditionはカッティングシートなどは使用せず、塗装のみで三色の塗り分けを実現している。「69」はロバンペラがWRCで使用しているパーソナルナンバー

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