放っておけない...中途失聴の女性、行方不明の男性探し保護 スマホ機能で“あえて”の声かけ 那須塩原署が感謝状

感謝状を受け取る上野さん(右)

 栃木県警那須塩原署はこのほど、行方不明となった70代の男性の保護に協力したとして、那須塩原市内在住、パート従業員上野和子(うえのかずこ)さん(50)に感謝状を贈った。上野さんは病気で聴力を失ったが、音声を文字起こしするスマートフォンの機能を使って男性とやりとりをし、保護に貢献した。

 上野さんは12月16日夜、県警発信の情報を配信した市の「みるメール」で行方不明の男性がいることを外出中に知った。心配になり、男性が行方不明となっている付近を通って帰ることにした。

 上野さんは情報にあった住所の近くで、男性の特徴に似た人を発見。「道に迷っているのですが、ここは那須塩原市ですか」と男性に声をかけた。以前、介護の仕事をしていた経験から「認知症かもしれないと思い、(あえて)道を尋ねる声かけをした」という。

 上野さんはスマホの文字起こし機能で男性の言葉を聞き取り、男性自身がどこにいるのか分かっていないと感じた。男性に家族が心配していることなどを伝え、同署に通報した。男性は認知症を患っていたという。

 上野さんは「早く見つけないと、寒かったので命の危険もあったかもしれない。見つけられたのは、たまたまだけど良かった」と振り返った。

 江田清(えだきよし)署長は「私たちも行方不明になっている人への声かけの仕方は大変勉強になった」と感謝した。

感謝状を受け取った上野さん(右)

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