筑波大(茨城県つくば市)は25日、日本の学位が取得できる海外分校をマレーシアに設置すると発表した。日本の大学が、学位を授与する学部を海外に設置するのは初めて。新設するのは「学際サイエンス・デザイン専門学群」で9月開校予定。マレーシアや周辺国の学生をターゲットに、日本型の職業倫理や価値観を身に付けた人材育成を目指す。
同大によると、分校は首都クアラルンプールの国立マラヤ大学内に開校する。入学定員は40人。教員約20人と事務スタッフを筑波大から派遣し、日本語と英語で講義を行う。
同専門学群では、統計学や数学などを活用して社会課題を解決する知見を導き出す「データサイエンス」を学ぶ。4年間の教育課程を修了すると、現地で同大の学位が取得できる。
マレーシア政府が、自然環境や健康福祉など地球規模の課題解決につながる教育機関の設置を日本側に要望し、同大が準備を進めてきた。マレーシア海外分校設置準備室の辻村真貴室長は「卒業後の進路として日系企業や日本の大学院進学が期待でき、両国の人材が好循環する入り口にしたい」などと話した。
分校の教育課程は昨年12月にマレーシア政府機関に承認された。他の手続きを済ませた後、募集要項などを配布する。4月に推薦入試、6月に一般入試を予定する。
辻村室長は「近年マレーシアでは自然災害や健康問題などの課題があり、現地で学生と問題を解決したい」と話した。