特殊詐欺被害の阻止、コンビニで増加 交番の署員に担当店舗「最後のとりで」と連携密に 兵庫・明石

感謝状を受け取ったセブン-イレブン明石江井ケ島駅前店の大矢根友紀子さん=明石署

 兵庫県明石市内でコンビニ店員が特殊詐欺被害を未然に防ぐケースが増えている。明石署によると、2023年1~11月の阻止件数は39件で、前年の14件を大幅に上回った。普段から警察とコンビニのコミュニケーションを密にする同署独自の制度が要因の一つとみられる。25日にも新たに被害を防いだ店員に感謝状が贈られた。(領五菜月)

 同時期の特殊詐欺の被害件数は63件で、前年比8件増となった。

 同署は22年10月、交番勤務の署員それぞれに担当店舗を割り当てる「私のコンビニ制度」を創設。出勤日には可能な限り立ち寄り、店員と会話。新手の手口や注意点などを伝えているという。同署の中村信幸署長はコンビニを「被害防止の最後のとりで」と話し、水際対策を重視する。

 同日に感謝状を受けたのは、セブン-イレブン明石江井ケ島駅前店(同市大久保町)店員、大矢根友紀子さん(43)。

 同署などによると、大矢根さんは昨年11月24日、同店を訪れた市内の40代女性がレジで電子マネーカードの買い方を尋ねた際に応対。携帯電話で誰かと話しながら指示を受ける女性の様子を不審に思い、県警が店舗に配布していた詐欺事例や対応方法、通報先などが一覧できるシートを指さし「同様の手口ではないですか」と声をかけた。ようやく詐欺に気付いた女性に警察に電話するよう促し、被害を未然に防ぐことができたという。大矢根さんは「大切なお金を守れて良かった。さらに気を引き締め、声かけをしていきたい」と話した。

 中村署長は「積極的に取り組んでいただき、本当にありがたい。署員が立ち寄ることで引き続き連携を強化し、特殊詐欺の被害防止に努めていきたい」と話している。

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