お手入れされるのが苦手な馬さんとの接し方

馬にとって、日々のお手入れはとても大事なことです。
運動すれば汗をかきますし、厩舎で寝転がることでボロ(馬糞)やワラなどが体についてしまいます。また新陳代謝によって、フケなどの老廃物が蓄積していきます。

お手入れをせずに放置してしまうと、体温調整に重要な発汗作用が鈍ってしまい体調を崩すこともあります。またお手入れをすることは、血行が良くなり筋肉の疲労回復などにも効果があります。

しかし馬の手入れの一番のメリットは、乗り手と馬との距離を縮めることができることです。

そこで今回は、お手入れが苦手な馬との接し方についてまとめました。
馬のお手入れはちょっと苦手・・・という方も、是非最後までお読み下さいね。

声をかけながらゆっくり近づく

ご存知の通り、馬は臆病な動物です。いきなり触ると馬も驚いてしまい、身を守るために暴れる可能性があります。
馬に近づくときには、優しく声をかけながらゆっくり近づきます。また馬に触る際には、声をかけながらゆっくり優しく身体を撫でてあげましょう。

お手入れをする時は、馬が繋がれているチェーンやロープをくぐる必要があります。ゆっくり近づいてチェーンを持ち、
「入るよ」と、声をかけて下さい。
馬が暴れず落ち着いていれば、近づいてもOK!のサインです。

自分本位で動かず、何をする場合でも馬の反応を見ながら進めて下さいね。

手の匂いをかがせる

お手入れが苦手な馬に、近づいてすぐにお手入れを始めるのはNGです。
まずは馬への挨拶から始めます。

挨拶の方法は、馬に手のにおいをかがせることです。
馬に近づいたら、まず鼻の近くに手を伸ばして自分の匂いを嗅がせてあげましょう。匂いを嗅ぐことで馬が安心します。
このとき、素早く手を出したり目線よりも高い位置に手を持っていくと馬が驚いて警戒してしまうので、ゆっくりと同じ速さで動きながら鼻や頬を触ってみて下さい。

もしも手を鼻先に持っていったときに馬が首を上げたり、耳を伏せて威嚇するようであれば、一度手を引いて落ち着くのを待ちましょう。
そして再び手の匂いを嗅がせます。
馬が慣れるまで繰り返し、自分を受け入れてくれるまで辛抱強く続けましょう。

落ち着いて匂いを嗅いでくれたら、ゆっくりと手で額から鼻にかけてを撫でてあげます。
この時も馬の反応を見ながらおこないます。首を上げたり固くするようならいったん手を引き、受け入れてくれるのを待ってから、もう一度やってみます。
無理におこなうことは止めましょう。

「この人はちゃんと自分の反応を見てくれている」
と馬に思ってもらえるようになるまで、辛抱強く頑張りましょう。

左側に立って撫でてあげる

馬は人の姿が見えると安心するので、横から近づいて存在を認識させます。
正面に立ってしまうと、馬に威嚇されていると思われてしまうので気を付けてください。

撫でる際には、左側から撫でてあげましょう。
引き馬、馬装、騎乗など、ほとんどの作業を左側からおこなうため、馬にとっても慣れている左側に立つ方がストレスを感じないと言われています。
また撫でる以外にも、首を軽く叩くと馬は褒められていると感じます。

馬の近くに立つ場合、馬の後ろに立つことは大変危険です。馬の脚力は非常に強いため、後肢で蹴られたら大怪我をしかねませんので、気をつけて下さい。

耳を後ろに伏せるような動作をするときは警戒しているサインです。それ以上近づくことはやめましょう。
反対に耳をまっすぐ上に立てているときは、興味を持っているサインなので、触っても嫌がられないのでそのまま撫でても大丈夫です。

馬を撫でてリラックスさせたら、お手入れを始めましょう。
ブラシをかける際も馬の様子を見ながらおこないます。
いきなり始めるのではなく、ブラシをかける部分を触りながら声がけをして下さい。
最初は軽い力でブラッシングしましょう。

ブラッシングしている際に、あくびをしたり、口をもごもごと動かすようであれば、気持ち良いというサインなので、そのままお手入れを続けて大丈夫です。
逆に頭を上げたり、首を固くする場合は、不快に思っているのでブラッシングは軽めにおこないます。
もし触れただけでも嫌がるようなら、無理せず指の腹などを使ってさする程度にしましょう。

腹下やひばらのような、皮膚が薄い部分のブラッシングを嫌がる馬は多いので、無理におこなうことはありません。
指の腹で軽くさすって、汚れを落とす程度で大丈夫です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

馬が嫌がっているにも関わらず、お手入れは必要だからと無理強いすれば、ますます嫌いになってしまいます。
お手入れは嫌なこと、と馬が覚えてしまったら、修正するのにかなり時間がかかります。

乗馬クラブによっては、レッスン前のお手入れとレッスン後のお手入れをしなければならない場合もあるので、無理せずできる範囲でおこなってみて下さい。
嫌がる馬に対してどうしてもお手入れしなければいけない場合は、できるだけ手早く済ませることを心がけましょう。

お手入れが苦手な馬へ接する際の一番のコツは、嫌がることをしないことです。時間がかかるかもしれませんが、馬と一緒に頑張って下さいね!

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