「アグリテック甲子園」大分東高農業部が優秀賞 AIによるイチゴの品質判定マシン開発【大分県】

「アグリテック甲子園2023」の賞状を手に受賞を喜ぶ大分東高農業部の発表者の3人=大分市屋山

 【大分】全国の高校生や大学生が情報通信技術(ICT)を活用した農業のアイデアやビジネスプランを競う「アグリテック甲子園2023」で、大分市の大分東高農業部(9人)が2位に当たる優秀賞を受賞した。人工知能(AI)によるイチゴの「品質判定マシン」開発の取り組みを発表。完成度の高さ、生産者らの声を反映したことなどが評価された。

 大会は兵庫県姫路市が次世代を担うデジタル人材の育成を目的に、2021年度から開催。本年度の本選は今月21日に同市であり、書類審査で選ばれた東北大など計7校の個人・グループが出場した。

 大分東高農業部の開発の取り組みは、県産イチゴの「ベリーツ」の生産・流通について調べるため、生産者やJAおおいたの関係者に話を聞いたのがきっかけ。

 形状や大きさなどで18区分がある出荷規格や品質の判定基準の複雑さから、選別やパック詰めなどの作業に手間がかかっていることを知った。「授業で習った、AIによる画像判定のプログラミング技術を応用すれば、瞬時に判定できるのでは」とマシンの製作を思い立った。

 果実を規格別に撮影した画像データで判定の基準となるプログラムを作成。千枚以上の画像データをAIに学習させ、精度を高めた。1粒ずつカメラにかざすと判定結果を画面に表示。生産者らの要望で結果を音声で知らせる機能を加えるなど改良を重ねたという。

 アグリテック甲子園の本選では、部長の佐藤ひかりさん(18)、上野花華さん(18)、後藤蒼来(そら)さん(17)=いずれも3年=が開発の経緯や成果、ビジネスプランを披露した。大学院生も出場する中、「緊張したけど練習以上のプレゼンテーションができた」と3人。最優秀賞に次ぐ賞を喜び、「1位でなかったのがちょっと悔しかった」と笑みをこぼした。

 開発に当たっては選別規格やプログラミングの指導など、JAや多くの企業が協力、支援をしてくれたという。顧問の住田武彦教諭は「生徒たちが農家に足を運んで課題を見つけ、力を合わせて解決しようと頑張ったからこそ」とたたえた。

 試作品は近く生産現場に導入される予定で、2年生が後を受け、製品としての使いやすさを追究していく。金田浩嗣校長は「多くの広がりの可能性がある取り組み。これからも農業の発展に寄与してほしい」と期待した。

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