鹿嶋ビール「海外」へ自信 自然栽培の原料、G7で提供実績 茨城

レセプションで提供されたビール(手前)と唐沢秀さん=鹿嶋市宮中

■醸造所「爽やかな後味」

茨城県鹿嶋市のビール醸造所「パラダイス・ビア・ファクトリー」(唐沢秀代表)は、昨年12月に水戸市で開かれた主要7カ国(G7)内務・安全担当相会合の歓迎レセプションで、無肥料無農薬の自家製自然栽培麦芽を使用したビールを提供した。G7各国の大使館職員らの投票で提供銘柄に採用された。唐沢さんは「現地の方に選ばれ、提供できたことは素直にうれしい。海外展開する上で自信になった」と胸を張った。

同レセプションでは、県内33蔵元の日本酒のほか、5社8銘柄の地ビール、3社3銘柄の地ワインが用意された。G7大臣会合推進室によると、県内のビール醸造所やワイン醸造所に働きかけ、5社15銘柄のビール、5社10銘柄のワインを事前に選出。10月に開かれた視察ツアーの夕食会で、G7各国の大使館職員らに試飲してもらい、投票により人気の高かった銘柄がレセプションで採用されたという。

高評価を得た銘柄の一つが、同醸造所の「SESSION IPA(セッション・アイピーエー)」。柑橘(かんきつ)系のアロマホップが効いたエールビールで「雑味がなく爽やかな後味が特徴」(唐沢さん)の自信作だ。

投票で選定した理由について、同推進室は「ビールやワインの本場は海外。えりすぐりを堪能してもらいたい思いから、現地の人の味覚で確認してもらった」と話す。

同醸造所は2016年に開設。現在8種類のビールを製造している。自然栽培にこだわり、化学肥料や農薬はもちろん、堆肥なども使わない。主原料の二条大麦(ビール麦)をはじめ、コリアンダーシードやオレンジピール、サンショウなどは地元で自然栽培。また、仕込み水には鹿島神宮境内の湧き水を使っている。

こだわり抜いたビールのうち2種類程度を、2月にドイツで開催される世界最大級のオーガニック専門見本市、BIOFACH(ビオファ)に出品する予定。唐沢さんは「メードインジャパンのビールを世界に知ってほしい」と未来を見据える。

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