熱中症リスク、見える化 山形市が学校にセンサー導入、全国初 

協定書を取り交わす(左から)草開千仁社長、佐藤孝弘市長=山形市役所

 山形市は学校で熱中症リスクをいち早く把握するため、今年4月から敷地内の気温や湿度、風速などのデータを無線通信でスマートフォンアプリなどに通知するセンサーを市内の小中高校に導入する。センサーを提供する民間気象会社ウェザーニューズ(千葉市)と25日、協定を結んだ。学校への同社センサー導入は全国初という。校内環境をリアルタイムで見える化し、屋外での活動実施の可否判断に生かすとしている。

 センサーの名称は「ソラテナPro」で、直径12.5センチ、高さ26.7センチ、重さ約960グラムと持ち運び可能。気温▽湿度▽気圧▽雨量▽風向▽風速▽照度―の七つの要素を1分ごとに計測。インターネットを通じて専用のサイトやアプリで最新データを確認できるほか、グラフ表示にも対応している。

 気温、雨量、風速の各データはあらかじめ設定した値を超えた場合、スマホアプリ上で、プッシュ通知を受けることができ、熱中症リスクを迅速に検知することができる。

 これまで校内の「暑さ指数」を把握するには教職員が少なくとも30分に1度、グラウンドなどに出向いて計測する必要があった。「ソラテナPro」は各ポイントに常設し、室内にいながら情報端末で随時確認できることから、教職員の負担軽減にもなるという。

 協定締結式は市役所で行われ、佐藤孝弘市長は「危機管理意識の向上にもつながれば」、草開(くさびらき)千仁社長は「山形をモデルケースに、全国に広げていきたい」とそれぞれあいさつし、協定書を取り交わした。

 県内の熱中症による救急搬送者数は昨年、1111人と過去最多となった。学校現場では米沢市で7月、部活動帰りの女子中学生が死亡し、8月には山形市内の中学校で体育祭の練習中に13人が運ばれる事案が発生した。

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