グラウンドは他の部活と共用、悪天候時は教室でプラスチックボール使い打撃練習 センバツ21世紀枠候補の大洲高校 豪雨で被害を受けた部員も…

1月26日に春のセンバツ高校野球の出場校が発表されます。21世紀枠の最終候補に選出されている学校に、愛媛県立大洲高校があります。限られた時間と場所で実力を磨き、休日には海岸で清掃活動も行っています。地域への感謝を胸に活動する、ナインの思いを聞きました。

チームの攻守の要、大野航太郎キャプテンを中心に、守備からリズムを作りつながる打線で勢いに乗っていきます。

大野航太郎キャプテン
「守り勝つチームというのを新チーム当時にチーム全員で決めたので、しっかり守って試合で勝てたらいい」

この日は悪天候のため、教室でプラスチックのボールを使った打撃練習。ボールに若干の変化が加わるため、対応力を磨くことが目的です。工夫を凝らしながら、その実力を磨いてきました。

そんなチームは去年9月、春のセンバツ出場につながる秋の愛媛県大会でベスト8。その実績が評価され、センバツの21世紀枠での最終候補に選出されました。

エースとしてマウンドに上がるのは、宮内隆之介投手。得意のカットボールを軸に多彩な変化球と直球でアウトを重ねます。

宮内隆之介投手
「どんどんインコースへ決まる直球を攻めていけるところとか、バッターを見て苦手そうなところを突いていけるところが武器。やはり高校生球児の憧れる場所ですし、プレーしてみたい」

チームの指揮を執るのは黒木太雄(たお)監督、35歳。2015年には、愛媛県立今治西高校野球部の監督代行として、春のセンバツに出場しました。

黒木太雄監督
「1回行かせてもらった立場になるが、味わったことのない偉大さを感じさせるような厳かな場所だと思うので、ぜひ子どもらにもその場に立たせてあげられたらなという気持ちは強い」

2020年の大洲高校野球部監督就任以来、練習で取り入れているのが丸太を使ったトレーニング。重さはなんと15キロあり、反復メニューで下半身を鍛えぬきます。

大野航太郎キャプテン
「発表が近くなってきて甲子園に行きたいという気持ちはさらに強くなっている。自分たちが甲子園に行って活躍しようという気持ちでこの冬頑張ってきた」

休日の朝9時。チームは、大洲市内の海岸に集まります。恒例の海岸清掃です。

黒木太雄監督
「日ごろから地域の方々にお世話になっているので、時間いっぱい一生懸命掃除してください」

4年前に砂浜トレーニングで訪れたことをきっかけに、毎年冬に複数回実施しています。

1時間半ほどで、ゴミ袋は30を越えました。この活動は、戦力以外の要素も判断材料となる21世紀枠の選考で大洲高校が推薦された理由の1つです。

また、清掃活動は選手たちにとって特別な思いがあります。2018年の西日本豪雨。肱川の氾濫で大洲市も大きな被害を受け、自宅が被災した部員もいます。

藤井大騎選手(自宅が浸水被害)
「家が浸かっていくのを見て悲しい気持ちになった。いろんな人たちに支えられて今があると思うので、少しでも地域のために何かできたらいいと思っています」

地域へ恩返しを-。大洲ナインは初の聖地へ向け、思いを高めます。

大野航太郎キャプテン
「地域の方々に本当に支えられているので、少しでも恩返しができるようにプレーで示したい。甲子園に出るのは小さいころから夢見てきたものなので、選ばれることを楽しみにして待ちたい」

大洲の甲子園出場が実現すれば春夏通じて初めてです。26日、ナインに吉報は届くのか、注目です。

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