コーヒーでつながろう 南紀はまゆう支援、開校記念に生徒発案でオリジナルブレンド

開発関係者とオリジナルブレンドコーヒーをPRする矢倉遼典さん(中央)=和歌山県上富田町岩田で

 南紀はまゆう支援学校(和歌山県上富田町岩田)は、生徒の発案を基に、オリジナルブレンドコーヒー2種類を開発した。同校は「コーヒーを通じ、保護者や地域とのつながりが生まれればうれしい」と期待している。

 ICT(情報通信技術)を活用して、社会とのつながりをデザインするプロジェクトの一環。紀南を拠点にするクリエイター集団「TETAU(テタウ)」の協力で、肢体障害のある高等部2年の矢倉遼典さん(17)が取り組んでいる。矢倉さんは両腕が使えないが、口にくわえたペンでタブレットを自在に操作できる。

■きっかけは初コーヒー

 開発のきっかけは、昨年度のプロジェクトの中で、矢倉さんが初めて口にしたコーヒー。感想を話していたところ、さまざまな話題が広がり「つながりづくりに役立つのではないか」とアイデアが膨らんだ。同校は「南紀」と「はまゆう」2校の支援学校を再編統合して昨年4月に開校した。新しい学校の誕生を記念して取り組んだ。

 矢倉さんは「初めてのコーヒーは苦かったけど、いい香りが広がっておいしく飲めた。多くの人にブレンドを味わってもらい、支援学校についても知ってもらえたらうれしい」と話す。

 コーヒーは「きらめき」と「やさしさの輪」の2種類。新校歌に着想を得て、矢倉さんがコンセプトを設計した。「きらめき」は明るい未来に駆け出す児童生徒、「やさしさの輪」は多様性を尊重して広がる温かな関係をイメージしている。

 パッケージも矢倉さんがデザイン。小中高等部の約200人に押してもらった「指スタンプ」をコーヒーカップの形に配置した。「カップ」は5度傾けたデザインで、2種類を左右に並べると「乾杯」しているように見える。

■本格的な味わい

 ブレンドは、コーヒーの焙煎(ばいせん)加工、販売を手がける「モリカワ」(田辺市城山台)に依頼。「きらめき」は、華やかな香りと軽やかな味が特徴のエチオピア産モカを中心にブレンドし、余韻が続くうまみを引き出した。「やさしさの輪」は、多様性を産地や焙煎度合いが異なる豆で表現。混ぜて調和させ、優しい味わいを生み出した。

 コーヒーは、24日の開校記念式典で、出席者に計500個を配布。式典に先立ち、保護者・教員向けにも限定販売して好評だった。一般販売の予定はない。

 同校は「他校や企業、地域とのつながりを広げていきたい。将来的にはコーヒーの一般販売もできたらいい」と話している。

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