強制不妊訴訟、国に賠償命令 大阪高裁、夫婦が逆転勝訴

判決を受け、「逆転勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告側弁護士ら=26日午後、大阪高裁前

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反として、聴覚障害のある大阪府の70代夫婦が国に計2200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は26日、旧法を違憲とし、国に計1320万円の賠償を命じた。請求を退けた一審大阪地裁判決を変更した。

 同種訴訟のうち高裁判決は8件目。うち国に賠償を命じた判決は6件となった。昨年6月までに言い渡された5件の高裁判決については、上告審が最高裁大法廷で審理され、年内にも統一判断が示される見通し。

 一審判決同様、阪本勝裁判長は旧法を違憲と指摘。不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用は「正義、公平の理念に反する」との見解を示した。

 阪本裁判長は、国が旧法により、障害者への社会的差別や偏見を長期間助長したため、夫婦らが旧法が違憲だと訴える訴訟を起こし、不妊手術を強いられたと立証することは著しく困難だったと説明。

 19年8月に夫婦が診断書を入手するなど提訴が難しい状況が解消してから6カ月は、除斥期間は経過しないとした。

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