冒険家・あばれる君がリアル化石ハンターと対談! 化石ハンターが化石の見つけ方を直伝「地層を見て歩く」

あばれる君と木村由莉先生によるトークショー

2023年11月11日から2024年2月18日まで名古屋市科学館で開催される特別展「化石ハンター展」。その開催を記念し、あばれる君が「化石ハンター展」の総合監修を務める木村由莉先生(国立科学博物館 地学研究部生命進化史研究グループ研究主幹)と一緒に「化石ハンター」の仕事の魅力を深掘りするトークショーが行われました。

テレビ番組などでも数多くの冒険やサバイバルを経験しているあばれる君と、世界中を回って冒険しながら化石発掘に挑むリアル「化石ハンター」の木村先生。共通項も多い2人の対談は大盛り上がり! 「化石ハンター」の生の現場について、本音のトークが次々と飛び出しました。(聞き手:長江麻美/テレビ愛知アナウンサー)

恐竜好きなあばれる君は「化石ハンター展」に大興奮

化石ハンター展

――あばれる君はもともと恐竜がお好きなんですか?

あばれる君:恐竜は好きですね。昔、飛び出る恐竜絵本があって、動かすと恐竜が動いたりぶわっと飛び出てくるものです。それが今もあるので僕が子どもの頃に見ていた絵本を今、僕の子どもが見ていて、すごく不思議な感覚ですね。恐竜は魅力的なのだと改めて思いました。

――お子さんもは、今おいくつですか?

あばれる君:7歳と2歳です。2人とも恐竜好きで、2歳の子が特に好き。「きょうりゅう、きょうりゅう」と言っています。7歳の子はカリフォルニア自然博物館、恐竜の博物館へ行ってきました。アメリカは結構、規模が大きかったです。もちろん、この化石展も負けてないですよ!

――「化石ハンター展」をご覧になってみて、いかがでしたか?

あばれる君:「チベットケサイ」がすごかったですね! それと「アンドリュース」も魅力的でした。

――あばれる君は、どんな恐竜が好きですか?

あばれる君:ステゴサウルスは好きです。あとはアンキロサウルス。アンキロサウルスは石みたいな尻尾をぶつけ合って戦うのがとても魅力的です。恐竜はそれぞれ武器があるじゃないですか。飛んだり、顎の力が強かったり、防御力が高いとか。なんかポケモンにもそういうタイプいるなと。

ティラノサウルスには羽毛が生えていた?

あばれる君:僕が小さかった頃は、ティラノサウルスはトカゲのような見た目だと教わりました。でも、大人になって知ったのは、羽毛みたいなのが生えていたという話。どうなんだろう?

――そのあたり、リアル化石ハンターの木村由莉先生に聞いてみましょう!

木村先生は国立科学博物館の古生物学者。主に小さな哺乳類の進化や生態について研究されていて、「化石ハンター展」では総合監修を務めています。

――今回の見どころの1つである大型哺乳類の「チベットケサイ」、先ほどあばれる君もすごかったと話していましたね。

あばれる君:すごかった、角が大きかったし、ちょっと毛も生えてる?

木村:そう、毛が生えています。

あばれる君:寒かったからですかね?

木村:寒かったからですね。その通りです!

――先ほど質問のあったティラノサウルスについて教えてください。

あばれる君:羽毛が生えていたかとか、カラフルだったかどうかもぜひ!

発掘した化石から色まで分かる

木村:まず羽毛について。ティラノサウルスは大きいので、大人は生えていなかったのではないかなと考えられています。ただ、子どもは体が小さいので、体の温度を保たなくてはいけないです。そうなると、ティラノサウルスの仲間には羽毛が生えている動物がいるので、そこから考えて「もしかしたら子どもだったら生えているかも」となって、現在の復元方法が行われています。

あばれる君:へーっ! ティラノサウルスは緑のイメージじゃないですか、緑でゴツゴツしている感じ。でも、本当はふわふわしていたのかな? カラフルだったんじゃないかな? みたいな。

木村:羽毛が生えていると、カラフルだった可能性が出てきます。

あばれる君:化石から色まで分かるんですか?

木村:岩石を見ているだけでは分かりませんが、化石を顕微鏡で細かいところまで見ると、色素の化石が細胞として残っているんです。形を見て、青だったら細長いとかオレンジだったらもっと丸いとか。だいたい頭だったらオレンジ色、体だったら黒色と分かってきた動物が出ています。

あばれる君:顕微鏡で色まで分かる時代になってきた、と。とても人間世界では信じられないですよね。本当に大きい恐竜が歩いていたんでしょ? あの化石が動いていたんだ、と想像が膨らみますよね。

木村:絶滅した動物は現在の地球にはいませんが、昔はいました。1億年単位のタイムスケールは、とても面白いなと思います。この気持ちを何かの仕事にしたいなと思って、この仕事をやっています。

あばれる君:1億年単位かー!

化石ハンター直伝! 化石の見つけ方とは?

化石の発掘について話す2人

――実際に化石を見つけるのは私たちには難しいのではないか、と思ってしまいますが、私たちでも見つけることはできますか?

木村:愛知県はすごいですよ。愛知・岐阜は、日本でも珍しくたくさん化石が見つかるところ。しかも研究者を生み出している県なんです。

あばれる君:なぜ愛知と岐阜だけそんな特別なんですか?

木村:西日本と東日本の境目ではありますが、深い地層から見つかるだけでなく、浅い地層から見つかるのはすごく珍しい場所だと思います。

どうすれば化石を見つけられるかですが、まずはハンマーやつるはしでたくさん叩かないといけないんです。

あばれる君:でも叩けるのって、とっても広い場所だと一部だけじゃないですか。

木村:そうなんです。だからどうするかというと、一番良いのは「まず地層を見て歩く」こと。地層が広がっているだろうと思う方向に向かって歩いていくと、表面に堆積物は茶色なのに黒くキラッと光るものがあったり、怪しいと感じたりするものが見つかります。まずは周りとは少し違うと思う場所を探していくのがポイントになります。

木村:陸上で歩いている動物を見つけたいなら、陸地に近い堆積物を探さなくてはいけないです。でも堆積物だけを見て、これが陸なのか海なのか分かりづらい。見分ける簡単なポイントは、堆積物の砂粒がそろっていないことです。

あばれる君:いろんな大きさの石があるのですか? どういう意味があるんだろう。

木村:海は川から流れた堆積物が川近くで堆積して、それがまた運ばれて堆積する、といったことを繰り返します。すると、砂粒の大きさがそろってしまうんです。でも川に近い堆積物はどさーっと流れるので、粒がそろわないまま止まってしまうんです。そこに動物の死体が流されると化石になるんです。見分け方としては、川の方なら堆積物がそろっていないかどうかです。

あばれる君:かっけーよな、まじで。冒険してますねー。

木村:海の中からも見つかっているんです。実はナウマン象の化石のほとんどが海底から見つかっています。

あばれる君:なぜだろう。ずっと水にさらされているのに、なんで化石がそのまま残っているんですか?

木村:化石になった堆積物は海底の下を向いているので、波に表れてちょうど表面が出てくるんです。漁師さんの網に引っかかってきて、化石が下から上がってくるんです!

あばれる君:すげーな、漁師さんもよく気づいてくれますね。

木村:漁師さんとしてはいらないものですが、こういったものを取っておいてくれてる方がいるからこそ、博物館に展示できるんです。

恐竜好きのあばれる君とリアル化石ハンターの木村先生。息の合ったトークはこのあともヒートアップしました!

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