あばれる君が化石ハンターにインタビュー 古生物学者を目指すきっかけは「ジュラシックパーク」

あばれる君と木村由莉先生によるトークショー

名古屋市科学館で2月18日まで行われる特別展「化石ハンター展」。開催を記念して、お笑い芸人のあばれる君が「化石ハンター展」を鑑賞! 総合監修を務める木村由莉先生(国立科学博物館 地学研究部生命進化史研究グループ研究主幹)と一緒に「化石ハンター」の仕事の魅力を深掘りするトークショーが行われました。古生物学者を目指したきっかけや発掘調査の裏側について語ってもらいます。(聞き手:長江麻美/テレビ愛知アナウンサー)

――「古生物学者」とはどのような仕事をするのでしょうか?

木村:「古生物学者」と聞くと、発掘のイメージがつきますよね。ハンマーで岩石をガンガン叩いているようなイメージ。そのほかに、学者として「絶滅してしまった動物を、なるべく知識としてよみがえらせていく」ことをしています。例えば博物館に行ってほかの骨を見てみたり、今生きている動物たちと比べてみたり。時には飼育実験をして、生きている動物たちから絶滅した動物たちのヒントを得ていくような仕事をしています。

あばれる君:今ある情報と昔の化石を照らし合わせて、どのように成長や進化をしてきたのかを見極めていくんですね。それは推測の域もあるんですか?

木村:ティラノサウルスに羽毛があったかどうか、といった推測の域まで入っています。ただ、その推測を得るためにはいくつか証拠があり、その証拠をまとめるのが古生物学者です。たくさんの証拠を集めて良い答えに導きます。

あばれる君:すごいですね、魅力的! ところで古生物学者はどうやってなるのですか?

古生物学者の仕事について話す、あばれる君と木村先生

木村:難しいですよね。私も子どもの頃「古生物学者になりたい」と思っていましたが、一体どうやってなるのか全く分からず……。なんとなく大学に行くんだろうな、なんて思っていました。古生物学を専門に扱う大学はいくつかあって、名古屋大学がまさにそうです。大学で勉強したら、卵の卵くらいになれますね。

――大学で勉強して、化石ハンター・古生物学者の卵の卵ぐらいなんですね。

木村:その後、修行の場である大学院に5年ほど通い、その5年を経るとようやく研究者の卵になります。

――まだ卵ですか……。そもそも木村先生が化石ハンターになろうと思ったきっかけは何ですか?

木村:映画の「ジュラシックパーク」がきっかけです。あばれる君はジュラシックパークを知っていますか?

あばれる君:もちろん知っていますよ! 好きな作品の1つです。

木村:「ジュラシックパーク」の映画を見て、こういう仕事があるんだ、と思ったんです。ジュラシックパーク1作目で、トリケラトプスが病気になってうんちする場面があります。一体どんな食べ物で食中毒みたいになったのか、排泄したものを調べる古植物学者の女性が登場するんです。それを見たときに、私も同じことをやってみたいなって。それが古生物学者になるきっかけです。

あばれる君:映画から入ったんですね。

海外でも発掘調査 実は国によって発掘のしやすさが違う!?

――木村先生は実際に化石ハンターとなられたわけですが、海外に行って化石を発掘した経験もあるんですよね?

木村:毎年夏に、スペインで発掘を行っています。その前はアメリカに住んでいたので、アメリカで発掘していました。

あばれる君:アメリカで発掘、すげえよ。アメリカってでかいですか? 恐竜の宝庫?

木村:楽しいです。でかいのもあるんですけど、地面が柔らかいのもあって掘りやすいですね。日本はプレートが潜り込んでいて、ずっと圧縮する力がかかっています。その力で岩石がどんどん硬くなってしまうんです。白亜紀など少し古い時代の地層を掘りたい場合、ハンマーとタガネを使ってパーンと砕かなくてはいけないんです。

アメリカの場合は大陸だったので、ハケで掃くだけで発掘できてしまうんですよ。

あばれる君:そんな国によって掘りやすさなんてあるんですね! 木村先生は、何度も驚く発見を経験されているんですか?

木村:チームとしてはしています。私自身はそんなに得意ではなくて、見つけたものが「とんでもないものだった!」というのはまだ経験がありません。

あばれる君:難しいんですね。

木村:中国とモンゴルの間に広がっているゴビ砂漠で発掘したときに、ものすごい化石が出てきました。「生きている化石」と言えるようなもので、今、住んでいる動物と同じものが2000万年前から見つかりました。今まで全く信じられていませんでしたが、実際に見つかったので、ものすごくうれしかったですね。

あばれる君:昔は砂漠に木が生えていたんですね。

木村:昔は生えていました。2000万年ぐらい前は、日本にいた動物とモンゴルにいた動物はそっくりなんです。日本はアジアの一部でしたが、だんだんと離れていって別々の動物になりました。2000万年前の恐竜の時代はもっと緑豊かな場所でした。

あばれる君:どうして今は緑のない状態になってしまったんですか?

木村:気候変動が一番の原因です。今の環境は暑くなっているといわれていますが、地球環境の全体としては、とても寒くなっている時代なんです。本当は寒くなっているのに、人間のせいで少し暑くなっている。寒くなったおかげで乾燥が進み、ゴビ砂漠が出来上がったともいわれています。

あばれる君:地球は寒くなったり暑くなったりを繰り返しているんですか?

木村:そうです。今は全体的に寒くなりながらも暖かめの時代ですね

「冒険」についての話が尽きないあばれる君と木村先生でした!

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