国道169号通行止め1カ月「1日も早い通行を」下北山村のいま

県内を南北に縦断している国道169号では、12月、下北山村で土砂崩れが発生し現場では通行止めが続いています。発生から1カ月となる1月23日、村への影響を取材しました。

12月23日夜、下北山村上池原の国道169号で、道路沿いの斜面が幅20mから30m、高さ40mにわたり崩れ道路を覆いました。1人は救助されましたが、1人は5日後、遺体で見つかりました。国道169号は今も通行止めが続き、村民は迂回路を使った生活を余儀なくされています。

村から奈良方面に出るには国道168号を迂回路にして十津川村から五條市へと向かうか、三重県尾鷲市などを経て名阪国道で天理市に入るなどの方法がありますが、いずれもこれまでの1.5倍から2倍近い時間がかかります。

国道169号沿いにあり、年間約10万人が利用するという下北山スポーツ公園です。サッカーグラウンドや温泉施設、キャンプ場などが人気の村の観光拠点ですが、土砂崩れ以降、予約のキャンセルが続き、新たに入った予約はないといいます。

下北山スポーツ公園 勝平芳明 総支配人

「(キャンプ場で)集計してみると43から44%ぐらい減少率です。温泉はもっとひどくて55%ぐらい減少しております。春休みになるとサッカー合宿を中心にたくさんの子どもさんも来ていただいていて、4月に桜が満開になりますと、やっぱりたくさんのお客さんが来てくれるのですが、そういう人たちが来られないということになれば大きな影響が出ると思います。」

村では75歳以上の後期高齢者に困っていることはないか、約100人に聞き取り調査を行いました。大淀町や橿原市まで通院している高齢者もいて、緊急時の対応などに不安があるといいます。

中畑一正さん(81)

「地元の診療所だけではちょっと対応できない件もあります。やっぱりその辺がちょっと大変かなと思っています。能登半島地震のように、やっぱり病院行きたくても行けないとか、緊急の病人が出たときに果たしてどういうふうに対処していただけるのかなとそればかりが一番心配です。」

調査では、この他、高齢者の運転免許証の更新などについて相談があったといいます。また県内の高校を目指す受験生への対応などの課題があり、通行止めが長期にわたると負担は重くのしかかります。

下北山村保健福祉課 杉岡貴司 課長

「迂回ができると言っても十津川村を回ったりとか、疲れもちょっと違ってくると思いますので、1日でも早く通行止めが解除されたらっていうのが住民の皆さんの声です」

土砂崩れがあった区間は県の防災点検で対策が必要な箇所が多く、抜本的な対策として新たなトンネルの設置が検討されてきました。村は能登半島地震の被害状況からも一日も早い安全な道路の整備を訴えます。

下北山村 田川伸 副村長

「能登半島地震でも見られますように南海トラフ大地震等が起これば、三重県方面あるいは橿原・奈良方面ですね、(国道169号の)ぜい弱さから言いますと、(孤立は)現実なものになるっていう十分すぎる現状が示されている。安全な命の道だという認識のもとに、通行できるようにですね、早期に(トンネルの)事業化を、強く願っているところです」

なお県は2月末までに復旧工事の方法を決める方針ですが、予定の前倒しも検討しているということです。

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