「寿命」超え相次ぐ各地の水道管 AIや人工衛星が老朽化の救世主になる!?【1月20日~26日 タイムス+プラスから】

 蛇口をひねれば、きれいな水が出てくる。そんな当たり前に思っていた環境が脅かされていることを、改めて突き付けられました。

 名護市の久志浄水場から西原町の西原浄水場に水を運ぶ導水管に穴が開き、漏水していた問題。1月16日の発覚から9日がたった25日、管理者の県企業局がうるま市昆布の漏水現場で修繕工事を行い、ひとまず収束しました。

 9市町で可能性があった生活用水の断水は回避されましたが、断水の有無を巡り、情報が錯綜。企業局などには問い合わせの電話が殺到しました。工業用水の供給停止で、豆腐製造分の大豆約1トンの廃棄を余儀なくされた豆腐メーカーもありました。

「老いる水道」が社会問題に

 1960~70年代の高度成長期に整備が進んだ日本の水道。水道管の法定耐用年数は40年ですが、自治体の財政難などで更新がままならず、破損や腐食による断水や漏水が社会問題になっています。今回漏水が発生したうるま市の導水管も、1976年の設置から48年が経過。沖縄県企業局が管理する水道管のうち、耐用年数を超過しているのは約4割に上り、老朽化への対応に迫られています。

大阪市の路上でマンホールの取り換え作業中に水道管から漏水し、大量の水が噴き出した。全国で老朽化した水道管の破損や腐食が社会問題化している=2021年4月

 限られた予算の中で効率よく水道管を更新していくため、全国の自治体では最新技術を活用する動きも出ています。

 例えば長野県。人工衛星から地表へマイクロ波を照射し、漏水ポイントを発見。人による点検は時間がかかる上、作業員の熟練度によって仕事にばらつきが出るのが課題だったのに対し、発見率が3倍に上がったといいます。

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 その地域の土壌の質や気候、地震など災害の発生状況によっても、劣化の進み具合は変わります。耐用年数や更新基準年数という指標に加え、AI(人工知能)を使って将来の漏水確率を予測し、優先度の高い場所から更新や修繕を手がける手法も徐々に広まっています。

 沖縄県や市町村には、予算確保を含めさまざまな観点から対策を検討し、対処していく役割があります。私たち住民も、断水騒動を一過性にとどめないことが大切。節水への意識を高め、命をつなぐ生活インフラの在り方について、日頃から関心を持つことが求められます。

「胃心地いいね」1000回!

 続いては、昨年11月の日曜ニュースレターでも紹介させていただいた連載「胃心地いいね」の話題です。

 記者おすすめの飲食店を紹介しようと、本紙の那覇かわら版(現在は地域版に統合)で2003年7月にスタート。1月26日の掲載分で通算1000回となりました(紙面では761回となっていますが、那覇かわら版時代の239回が含まれていません)。今回取り上げているのは、糸満市の「唐揚げ専門店『とり坊主』」。3種の鶏の揚げ物が盛られた定食(900円)は、ボリューミーで圧倒されますね! お腹を空かせ、カロリーを気にせず、たいらげたい...。

3種類の鶏の揚げ物が味わえる「とり坊主」(糸満市)の「ミックス定食」

 これからも県内各地の記者が、胃袋も心も満たす沖縄県内の飲食店をたくさん発信していきます。引き続きチェックをよろしくお願いします。

日頃の悩み、養老さんへ相談

 このほか共同配信のコンテンツで、解剖学者・養老孟司さんが読者らの悩み相談に応じる連載「養老先生に人生相談!」が今月から始まり、大好評です。最新回は、東京都に住む70代女性から「夫の生活がめちゃくちゃ 健やかに長生きしてほしいですが...」というお悩み。「バカの壁」などで知られる養老さんが、どんな助言をしたのか、気になりますよね。

 「裸足で逃げる」「海をあげる」などの著者で、琉球大教授・上間陽子さんによる論考も、かなり読まれています。成人式の振り袖を通して浮かび上がる、若いシングルマザーたちの現実。上間さんの柔らかく、温かな筆致にも引き込まれます。必読です。

 今週は、鬼餅(ムーチー)行事の頃の寒さ、「ムーチービーサ」で震え上がっていた方も多いのではないでしょうか。インフルエンザの患者が増え、25日には県から今季2度目の流行警報が発表されました

 28日からの1週間は最高気温が20度を超え、暖かい日が多くなりそう。感染症や寒暖の差で体調を崩さぬよう、くれぐれもご自愛ください。今週のデジ編チョイスは新垣綾子がお届けしました。

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