受け子などグループ末端が低年齢化 特殊詐欺関与の逮捕者、20歳未満が4割超

山形県警本部(資料写真)

 特殊詐欺(うそ電話詐欺)で現金受け取り役の「受け子」などで関与したとして、県警が2023年に逮捕した容疑者のうち、20歳未満が全体の4割以上となる8人に上ったことが、組織犯罪対策課への取材で分かった。犯行グループの末端では低年齢化が進んでおり、小遣い稼ぎや、簡単なアルバイト感覚など、軽い気持ちで加担するケースが増えているという。

 同課によると、23年に県警が特殊詐欺に関与したとして、詐欺や窃盗の疑いで逮捕した容疑者は19人で、このうち8人が20歳未満だった。内訳は高校生5人、無職2人、とび職1人となっている。受け子の他、現金引き出し役などの「出し子」、受け子や出し子の勧誘役など、いずれも末端の容疑者だ。

 「捕まって良かった」。逮捕者の中には、取り調べでこう供述する若者もいるという。グループの背後には反社会的勢力がいることが少なくない。いったん加担すれば、脅され、自らの意思で抜け出すのは難しいこともある。同課の担当者は「上部の指示役は、言いなりになりやすく、切り捨てることができる若年層を利用している。要は捨て駒だと思っている」と指摘する。

 「ルフィ」を指示役とし、特殊詐欺だけでなく広域強盗まで手を出していたとされる犯行グループは、交流サイト(SNS)やインターネット掲示板で「闇バイト」として実行役を募っていたとされる。「匿名・流動型犯罪グループ」と呼ばれ、実態は不明瞭なケースが多い。県内の逮捕者を見ると、末端では先輩・後輩や、友人・知人から「お金が入る」などと勧誘された事例が多いという。

 これから春休みにかけては、高校生などにとっては就職や進学を前に比較的時間ができる時期を迎える。SNSを利用できる環境であれば、どこでも闇バイトの求人情報を目にする機会はあり、本県の若年層も例外ではない。犯行グループは受け子や出し子ら実動部隊を新幹線などで送り込み、現金を入手後、首都圏などに戻らせる“ヒットアンドアウェー”の手口を使う。冬場は交通機関が雪の影響を受けるため、被害が少なくなる傾向にあるが油断は大敵。同課の担当者は「被害者にも加害者にもならないよう、注意してほしい」と話している。

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