EV移行見据え、食品業界進出 産業用洗浄機などの管製作所(天童)

食品用カップなどを自動で並べる「らくちん切り出しマル」を説明する細谷欣之郎社長=天童市・管製作所

 産業用洗浄機開発製造などの管製作所(天童市、細谷欣之郎(きんしろう)社長)は、新たに食品業界向け機械の開発製造を始めた。現在の主な取引先は自動車業界で、産業構造がガソリン車から電気自動車(EV)に移行していることを見据え、新たな収益の柱として育てたい考えだ。細谷社長(45)は「顧客ニーズに応える力と技術力が自分たちの強み。挑戦を通じて会社をさらに成長させたい」と話す。

 開発した商品は、食品工場で使用する自動トレー供給機。コンビニで販売するデザートや弁当などの容器を自動的に並べる機械で「らくちん切り出しマル」の商品名で2021年に製品化した。重ねて積んだ容器を下からバキュームで吸うことで、一つずつベルトコンベヤーに並べられる。県内外の食品工場に納入している。

 同社は1977(昭和52)年創業。コンピューター制御で、金属加工時に出る切りくずなどを精密なレベルで洗い落とす洗浄機が主力製品だ。自動車のエンジンなど、精密さが求められる部品製造時に使うもので、大手自動車メーカーや建設機械、航空機、農機などの製造現場で同社洗浄機が活躍している。

 食品業界向け新事業の売り上げは、全体から見るとまだ小さい。それでも「新たな業界への挑戦は発見が多い」と細谷社長。らくちん切り出しマルでは、同社の精密洗浄技術を生かす場面はあまりないが、容器の内側に機械が触れないことや機械の防水性など、食品業界ならではの制約にも対応している。将来的には調理器具の洗浄機など、自社の得意分野を生かした製品の開発、提案を目指す。

© 株式会社山形新聞社