ヒラメにトリチウム濃縮されず 東電「有機結合型」試験

福島第1原発の処理水を使って飼育されているヒラメ(東京電力提供)

 東京電力は福島第1原発の処理水に含まれる放射性物質トリチウムが生物の組織と結合してできる「有機結合型トリチウム」が、ヒラメの体内で濃縮されなかったとする試験結果を明らかにした。これまで研究機関から報告されている同様のデータを実際の処理水を使った飼育試験で裏付けた。

 トリチウムは三重水素とも呼ばれ、通常は水素と同様に酸素と結びついた水の状態で存在する。生物が取り込むと一部が筋肉のタンパク質などと結合し、より長く体内にとどまるとされる。

 東電は処理水を海水で希釈してトリチウム濃度を同社が設定した放出基準を下回る1リットル当たり約1250ベクレルにした水槽で、2022年から飼育試験を実施。通常のトリチウムはヒラメに取り込まれて24時間後には1リットル当たり1100ベクレル前後で濃度が一定となった。

 有機結合型は生成に時間がかかるため、さらに試験を続けたところ、約250日後に200ベクレル前後で濃度が一定になった。通常のトリチウムと合わせて換算しても水槽内の濃度以下となり、体内で濃縮されないことを確認したとしている。

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