韓国ドラマ界が直面する危機!配信で世界的人気も現場は苦悶 1話の出演料1800万円の俳優の実名も

韓国ドラマ界の制作スタッフが、主役級俳優の際限なく高騰する出演料について頭を抱えている。この深刻な事態を解決するため、最近韓国ドラマ制作事業会が懇談会を開き議論の場を持ったと、複数の韓国メディアが報じた。

懇談会に出席したある放送関係者は「主役級クラスの俳優は、1話あたりの出演料が10億ウォン(約1億800万円)を達しているのが現実」と明かし「制作会社は、ドラマ編成が容易に確保される(人気や知名度の高い)俳優陣の要求に応えて1話あたり数億ウォンを支払いながら、やむを得ずドラマ作りをしている状況だ。そしてそれは、制作費上昇を助長する悪循環を生んでいる」と打ち明けた。

ドラマ制作会社の代表は「最近、新ドラマの制作にあたり俳優たちのキャスティングを行ったが、1話あたりの出演料が4億ウォン(約4350万円)、6億5000万ウォン(約7060万円)、7億ウォン(約7600万円)にもおよんだ」ことを明かし「近年の出演料ヘゲモニー(政治的、経済的、軍事的に優位に立つこと)は、NetflixなどのOTT(動画配信)プラットフォームが中心であるため、われわれが太刀打ちするには無理がある。彼らは実際にはメディアで見る数値より、はるかに多い金額を支払っている」と吐露。

その理由に「出演料の協議をしたら、韓国の現地放送局とOTTの出演料の差異がとても大きかった」と言い「現地ドラマでは1話につき400万ウォン(約43万円)で出演している俳優が、OTTでは1500万ウォン(約160万円)ももらっていることがよくある。そして一度跳ね上がってしまった金額が、再び下がることはない」とため息をついた。

別の制作会社関係者も「マネジメント会社との交渉であれ政策樹立であれ、早急な解決策が必要だ」と主張している。

2023年10月、国会文化体育観光委員会の委員長が韓国放送演技者労働組合と韓国放送実演家管理協会から提出された「俳優賃金制度実態調査」および「改善案研究報告書」を通して、ドラマ「ペイバック~金と権力~」「わずか1000ウォンの弁護士」「スノードロップ」などの主演・助演の出演料格差を公開し、話題を呼んだ。

当時「ペイバック~金と権力~」の最大出演料は、1話あたり2億ウォン(約2170万円)、「わずか1000ウォンの弁護士」は1億6000万ウォン(約1740万円)、「スノードロップ」は1億1000万ウォン(約1200万円)、「ゴールデンスプーン」は7000万ウォン(約760万円)などと伝えられ、世間を驚かせた。

また俳優のソン・ジュンギは、ドラマ「ヴィンチェンツォ」と「財閥家の末息子〜Reborn Rich〜」で、1話あたり約2億~3億ウォンを受け取っているとある韓国メディアによって報じられ、IHQ「隠密なニュースルーム」ではイ・ビョンホンが「ミスター・サンシャイン」で1話あたり1億5000万ウォン(約1660万円)、ヒョンビンが「愛の不時着」で1億7000万ウォン(約1880万円)の出演料を受け取っている事が明かされている。

(よろず~ニュース・椎 美雪)

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