神戸大の医療機器開発拠点、今秋にもポーアイで完成 全国初、病院と接続 「医工連携」の核に

神戸大が建設している医療機器の研究開発拠点の完成予想図(同大提供)

 神戸大が神戸・ポートアイランドに建設中の医療機器に特化した研究開発拠点「メドテックイノベーションセンター(仮称)」が今秋にも完成する。同大病院や動物実験などを行う機器検証施設と隣接。参画企業が医療現場で機器のニーズを集め、学生と共同研究を行い、試作品の検証まで一貫してできる。同大は地元産業に知財を生かす前線基地と位置づけており、医療産業都市の起爆剤となるか注目される。

 同拠点は、鉄筋コンクリート7階建て延べ約3千平方メートル。神戸大病院国際がん医療・研究センター(ICCRC)の駐車場だった場所に10億円超を費やし、今秋の完成を予定する。

 ICCRCと渡り廊下でつなげる計画で、同大によると、大学が設置する病院に接続した医療機器開発拠点は全国初。ベンチャー企業や医療機器メーカー向けの貸実験室が複数あり、企業人と教員・学生が入り交じる空間になる。病院で実際の手術を見学して得た「気付き」を、実用化を見据えた製品開発に結びつけられるという。

 拠点内には金属やプラスチック、細胞を使って造形できる3Dプリンターを配備した工房を設け、迅速に試作品を作ることが可能。隣接する「統合型医療機器研究開発・創出拠点」で検証することもできる。

 一方、同大は医療機器開発の人材育成にも力を入れる。昨年4月、同大大学院医学研究科に「医療創成工学専攻」を新設。来年には大学院との一貫教育を視野に医学部にも新学科を設け、医療現場での演習を通した実践教育を提供する。

 昨年の博士課程1期生は、12人中3人が現役医師で、8人はメーカーなどの企業関係者といい、企業との共同研究も期待する。同大は将来的に卒業生が立ち上げたベンチャーが集積する青写真も描く。

 革新的な機器開発と、医療と工学の「医工連携」の核となる同拠点。同大の藤澤正人学長は「ここを中心に医療産業が集積し、地元の雇用拡大にも貢献できれば」と話す。(霍見真一郎)

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