KDDIスマートドローン、国内初5G SAによるドローン飛行の実証実験に成功。4G LTEより高品質な映像を伝送

本実証では、ドローンの空撮映像をKDDIスマートドローンの運航管理システムに伝送し、混雑した通信環境においても安定伝送できることを確認した。

なお、商用の5G無線局免許に基づき、5G SAを使用してドローンを飛行させるのは国内初だ。

5G SAのネットワークスライシングの活用が期待されるユースケース

本実証の背景

ドローンをはじめとする無人航空機などによる上空でのモバイル通信の利活用が進む中、5Gについても、必要な機能を具備することで、簡素化した手続きにより上空利用が可能となる法整備が2023年4月に行われた。

ドローンによる点検/巡視/警備などのユースケースにおいては、ドローン機体からのテレメトリー通信だけでなく、ドローンで撮影した高品質な映像を安定して伝送することが求められる。今後、モバイル通信の需要が拡大すると、ネットワーク混雑時などにおいて映像伝送に十分な帯域を提供できなくなることが想定されるという。

4G LTEの通信技術では5G特有のネットワークスライシング機能を使用したサービス提供が困難だった。本実証ではコア装置や基地局を含め、すべて5Gの技術を利用した5G SAのネットワークスライシングを活用することで、周囲の通信状況に影響されない安定した通信環境で高品質な映像伝送が可能だ。

KDDIとKDDIスマートドローンは、5G SAの上空利用に向けた準備を共同で進めており、今回、KDDIは制度整備を踏まえた無線局免許を取得するとともに、5Gの上空利用に必要なネットワーク環境を構築した。

本実証について

本実証では、ドローン専用の5G SAのネットワークスライシングを活用することで、地上におけるスマートフォン利用などの通信の混雑した状況下でも、ドローンの空撮映像伝送に必要な通信品質を提供した。

同一評価条件下で高い負荷をかけ、混雑したネットワーク環境を再現し、KDDIスマートドローンが提供する5G SA対応のスマートドローンと運航管理システムを用いて、ドローンから運航管理システムへの映像伝送を実施した。

4G LTEとドローン専用のネットワークスライスを用いた5G SAとで映像品質を比較した結果、4G LTEでは映像の途切れやブロックノイズの発生が見られた一方で、5G SAでは映像が乱れることなく高品質な映像伝送を維持できることを確認した。

本実証の結果を受け、混雑時でも安定した空撮映像伝送が可能という特長を活かし、災害発生後の被災現場の状況把握の高度化や、高精細な映像とAIを用いたリアルタイム分析などによる点検/巡視/警備などのドローンソリューションの価値向上に5G SAの技術が寄与することが期待されるとしている。

本実証の構成イメージ

▶︎KDDIスマートドローン

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