<レスリング>尾﨑野乃香(慶大)が逆転勝ち、慶大レスリング部から72年ぶりのオリンピック出場…パリ・オリンピック代表決定プレーオフ

▲会場の関係で応援は各20人と少なかったが、熱の入った応援合戦が展開された

お知らせ 本協会Facebook page / instagramに、保高幸子カメラマン撮影の試合写真等が掲載されています。

未定だったパリ・オリンピックの女子68kg級の日本代表を決めるプレーオフは1月27日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで行われ、全日本選手権優勝の尾﨑野乃香(慶大)が、世界選手権5位の石井亜海(育英大)を5-4で撃破。オリンピック代表に内定した。日本オリンピック委員会(JOC)の承認によって正式決定する。

試合は、第1ピリオド、尾﨑がアクティブタイムによる1点とテークダウンで3-0とリード。第2ピリオド、石井がアクティブタイムとテークダウンで、ラスト10秒に3ー3へ追いつき、尾﨑陣営のチャレンジ失敗で4-3とした。しかし尾﨑が最後の粘りを見せ、ラスト3秒でテークダン。5-4と逆転し、終了のホイッスルが鳴った。

慶大選手のオリンピック出場は、1956年メルボルン大会フリースタイル+87kg級の中尾三郎以来、68年ぶり。同選手は相撲部の選手(1955年学生横綱)。当時の重量級は選手が不足しており、足腰の強さから声をかけられてのレスリング参戦だった。レスリング部選手としての出場は、1952年ヘルシンキ大会フリースタイル52kg級銀メダルの北野祐秀以来、72年ぶりとなる(注:慶大レスリング部に在籍した選手としては、1964年東京オリンピックに、カナダ生まれでカナダ国籍のコージ・ヒラバヤシ=日本名は平林興二=がカナダ代表として出場)。

▲ラスト数秒で決着したプレーオフ。尾﨑野乃香が競り勝つ!

▲勝利のあと、報道陣の取材を受ける尾﨑

この階級は、昨年9月の世界選手権(セルビア)で石井が5位に入賞し、オリンピック出場枠を引き寄せた。しかし、日本協会の定めた規程は3位以内で代表内定。そのため、代表決定は12月の天皇杯全日本選手権へ持ち越され、石井が優勝すれば代表決定だった。1回戦で尾﨑が石井を破り、その後も勝ち進んで優勝。両者によるプレーオフによって、代表が決まることになった。

2022年に62kg級で世界一に輝いた尾﨑は、2022年天皇杯全日本選手権昨年の明治杯全日本選抜選手権で優勝を逃し、世界選手権出場の道を断たれた。65kg級のプレーオフに勝って世界選手権に出場したものの、62kg級は元木咲良(育英大)が2位に入ってオリンピック代表に内定。唯一代表が決まっていなかった68kg級に活路を求め、代表権を獲得した。(撮影=ホームページ・スタッフ)


2024年パリ・オリンピック代表決定プレーオフ

▼女子68kg級
尾﨑野乃香(慶大)○[5-4]●石井亜海(育英大)

▲全日本選手権から約1ヶ月、再び対峙した石井亜海(赤)と尾﨑野乃香

▲石井が4-3とリードし、残り9.89秒で試合再開(注=「4.98」になっていますが、「9.89秒」にさかのぼって再開されています)

▲終了間際、尾﨑の必死のタックルが決まる

▲劇的なフィナーレを迎え、勝利の雄叫びをあげる尾﨑

▲尾﨑の練習を支援した山梨・韮崎工業高校の選手らとともに

© 公益財団法人日本レスリング協会