女子日本代表、五輪世界最終予選に向けてチーム作りも佳境、恩塚HC「仕上げていこうという段階にある」

2月8日からハンガリーで五輪世界最終予選に挑む

「FIBA 女子オリンピック最終予選」に向けて強化を続ける女子日本代表チーム(FIBAランク9位)が1月26日に練習を公開。恩塚亨ヘッドコーチは「自分たちの強みを発揮するために、オフェンス、ディフェンス、戦い方のスクリプトを全部入れることができたらと思っている。よりタフな状況、カオスな状況を作った中で、やってきたことが、しっかり表現できるように、仕上げていこうという段階にある」と強化も佳境を迎えていると語った。

女子日本代表は2021年に開催された東京2020オリンピックで銀メダルを獲得後、アシスタントコーチだった恩塚亨氏がヘッドコーチに昇格する形で始動。2021年のワールドカップでは9位に終わり、「40分間 世界一のアジリティを発揮し抜く」というテーマのために活動を始めた昨年はアジアカップで五輪世界最終予選(OQT)出場権を獲得したものの準優勝に。さらに第19回アジア競技大会(2022/杭州)でも準優勝となるなど、中国に連敗を喫することになった。今回の合宿はハンガリー・ショプロンで開催されるFIBA女子オリンピック世界最終予選に向けてのもの。スペイン(同4位)、カナダ(同5位)、ハンガリー(同19位)と対戦し、上位3チームに入ってパリ五輪出場権獲得を目指す。

合宿スタート時に「走り切るシューター軍団」がコンセプトと語った恩塚HCは、「チーム・ケミストリーはしっかりできてきている。練習試合の中で困難な状況があると、自分たちでハドルを組んでいい空気を作っていくということができている。あとは自分たちの強みを発揮するために、オフェンス、ディフェンス、戦い方のスクリプトを全部入れることができたら。よりタフな状況、カオスな状況を作った中で、やってきたことが、しっかり表現できるように、しっかり表現できるように、仕上げていこうという段階にある」とチームの現状を語った。さらに「走り勝つシュート軍団がコンセプト。走るというのは、ただトランジションで走るだけではなくて、ディフェンスの足も含めて走るということなので、日本の速さとフルコートを使って戦うという一貫性をいかに出せるかという1つの筋と、シュートチャンス、3Pシュートのチャンスをいかに作り出すか。当然、相手もそれを消してくるので、その裏を突くのか、驚かせてチャンスを作るのか、その二軸で準備している」とポイントを説明した。
チームは大学生チームやWリーグのチームとの練習試合をこなしていて、ヨーロッパ渡航後も外国チームと練習試合を行ってチームを仕上げる予定だという。

気になる12名の選出について、1月23日に木村亜美(デンソー)、朝比奈あずさ(筑波大2年)、薮未奈海(デンソー)、絈野夏海(岐阜女3年)が合宿メンバーから外れたと明かしたものの、デッドラインになる2月6日までに最善の選択をしたいと語っている。また、自身のSNSを「メンバーから外れることになった」と投稿したオコエ桃仁花(豪州・UC Capitals)については再度、協会側がコンタクトを取って参加意志を確認。「候補に残っているという認識」と回答した。同様にギリシャのMOVISTAR ESTUDIANTESでプレーしている馬瓜ステファニーについても、「プロの選手として 契約がある以上、招集することは難しい。シーズンが中断するタイミングでしかできない」として合流するならば、現地になると語った。

林咲希キャプテン

林咲希キャプテンも合宿の中で成長できていると指摘している。
「オフェンスの最後で行き詰まった時に何をしなければいけないかが明確になって、そこから守られた時の最後の切り崩しというところ、最後まで突き詰めてやれているのはいいことかなと思う。最後まで合わせ続けるだったり、空いている人がボールを呼ぶだったり、簡単なことだけど、それが絶対大事だとみんなが理解できているので、 『後ろ空いている』という声がなくなることがなくなったのでいいシュートに繋げていけているし、1人1人の判断もだんだん良くなってきている。1人1人が主張して、どんどんプレーしてくれるところは良くなっているなと思う」。

また絶対に出場権を手にしたい大会に臨むにあたって「今回は絶対勝たなければいけない。その中で、悪い印象を持ってはいけなくてどれだけ自信持って挑めるかだと思っている。絶対行けるという強い気持ちは絶対持っていないといけない。日本の速さで世界をビックリさせられるかが大事でシュート力もそうですし、速さ、フィジカルの部分をコミュニケーションでどう対応できるかを突き詰めて行く練習し、試合をどんどんやっていきたい。勝たなければとかでなく、自分たちのバスケを世界に知らしめようというのを追究していきたい」と意気込んだ。

髙田真希

チーム最長身の185cmでインサイドの要となる髙田真希は、ディフェンスがポイントになると考えている。
「ディフェンスをしっかりやらないと走ることはできない。特に相手センターには2m近い選手もたくさんいる。その選手に簡単に持たせないこと、しっかりリバウンドを取り切ることが自分の役割なので、そこをしっかりやってからのオフェンスになる。そこをサボるとオフェンスでリズムが掴めなくなってしまうので、ミスを誘ったりタフショット打たせリバウンドを取ったりして走るバスケができれば日本のスタイルに当てはまる。自分がポストのディフェンスをしっかりまずやらなければいけない。そこは今までと変わらないので今回もしっかり果たしたい」と語ると「走り切るシューター軍団は他の人に任せて、自分はリバウンドしっかり取りたいなと思う(笑)」と笑顔を見せた。

赤穂さくらもディフェンスが大事と同調している。「走り切るシュート軍団はディフェンスやリバウンドをやって当然みんなでやらなければダメという前提で言っていることなのかなと思っている。走り切るシュート軍団は他の人に任せて、自分はリバウンドをしっかり取りたいなと思います。ディフェンス、リバウンドは自分の武器でもあるので、そこは負けちゃダメだなって思っている。そこが前提でオフェンスのところもしっかりやっていきたい」。また、髙田の“走り切るシューター軍団は他の人に任せて”という言葉を受けて「リツ(髙田)さんはシューターなのでシュートを決めてもらって。自分走る担当をします(笑)」と返した。

チームは1月29日に日本を渡航。2月8日まで調整することになる。

赤穂さくら


FIBA女子オリンピック世界最終予選2024」大会概要

大会名称:FIBA Women’s Olympic Qualifying Tournament 2024
(FIBA女子オリンピック世界最終予選2024)
開催期間:2024年2月8日(木)~11日 (日)
開催地:中国、ベルギー、ブラジル、ハンガリー
大会公式サイト(英語):https://www.fiba.basketball/oqtwomen/hungary/2024

■日本戦スケジュール
開催地:ハンガリー ※中国、ベルギー、ブラジルでも開催
日本試合予定:
2月8日(日本時間24:30開始予定)スペイン(同4位)
2月9日(日本時間26:00開始予定)ハンガリー(同19位)
2月11日(日本時間23:00開始予定)カナダ(同5位)

【組み合わせ】
中国開催:プエルトリコ(12位)、中国(2位)、ニュージーランド(23位)、フランス(7位)
ベルギー開催:セネガル(20位)、アメリカ合衆国(1位)、ベルギー(6位)、ナイジェリア(11位)
ブラジル開催:ブラジル(8位)、ドイツ(25位)、セルビア(10位)、オーストラリア(3位)
ハンガリー開催:スペイン(4位)、ハンガリー(19位)、カナダ(5位)、日本(9位)
※ランキングは2023年8月21日更新のもの

女子日本代表第5次強化合宿メンバー表

※年齢・所属は1月6日現在

チームスタッフ

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