茂木健一郎「カラオケで上手に歌うには?」相談者の悩みに脳科学的視点でアドバイス

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
1月13日(土)の配信では「カラオケで上手に歌うには?」というお悩みに答えました。

パーソナリティの茂木健一郎

<リスナーからの相談>
私はカラオケが大好きです。でも、なかなか上手に歌えません。自分では高い音も出ていると思っていても、実際は違っているようです。 そこで茂木さんに質問です。 歌を上手に歌うことと脳は関係していますか?

<茂木の回答>
「歌を上手に歌うこと」と「脳」はもちろん関係しているのですが、なかなか難しい話なんですよね。歌というのは、我々は自然に歌えますが、音楽に詳しい人に聞くと、うまく歌うためにはアスリートのようなトレーニングが必要とのことです。どんなに才能に恵まれた方でも、ボイストレーニングやピッチ、声のトーンの出し方など意識的にトレーニングしないとダメなようです。

僕もときどきカラオケに行くのですが、カラオケは、みんなと楽しんだり、自分が好きなように歌っていい気持ちになったりすることが目的ですよね。そのカラオケと、歌がうまくなりたい人がおこなうトレーニングは少し違うようです。

私は以前に一度、CDをレコーディングしたことがありまして。堀江貴文さんたちとユニットを組んで歌ったのですが(※堀江貴文さん、金杉肇さん、茂木健一郎による音楽ユニット「ハッカーズ」)、そのときは歌のトレーニングを“ひとりカラオケボックス”みたいな所でおこないました。

ちなみに、レコーディングをしているときは、自分の声がヘッドホンから戻ってきて、それを聞きながら歌ったのですが、そのときは(カラオケのように)気持ちが良くなるとか、そういう感じじゃないんですよね。「メタ認知」(注:自分が認知していることを客観的に把握し、制御すること)というのですが、自分の声を聞きながら「こういう声の出し方だと、こうなるんだ!」みたいにフィードバックして、学習をしながらトレーニングしないと歌はうまくならないんです。

脳はメタ認知という形で、自分の出している声を認識する能力はあるのですが、カラオケで気持ちよく歌っているときは、むしろメタ認知がオフになっているんです。なので、カラオケで気持ち良く楽しく歌うことと、歌のトレーニングを使い分けていただくと良いのかなと思います。

脳には「歌回路」(注:会話や楽器演奏などでは活性化せず、“歌”にだけ反応する脳回路)と呼ばれる、歌を歌うことに適している回路もあります。だから我々は歌うんです。そういう、もともと脳の中にある歌回路のような自然な回路プラス、自分の声をフィードバックして調節するトレーニングをされたら良いのかなと思います。プロの歌手でも、そういうトレーニングをしないと、本当にうまくならないそうなんですよね。ぜひ参考になさって、カラオケで気持ちよく、しかも上手に歌えるように頑張ってみてください。

\----------------------------------------------------
音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
\----------------------------------------------------

<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745

© ジグノシステムジャパン株式会社