ドンケツでも走りたい 大会皆勤賞の平戸チーム 県下一周駅伝・第2日

地元平戸を走る平戸の1区今村文(福岡大、右から3人目)=平戸市

 最下位になった回数は全11チームの中で最多の27回。選手不足という厳しい台所事情から、今回も当初はメンバー表の半分しか名前が埋まらなかった。それでも、知恵を絞って人を集め、第27回大会の初出場から皆勤賞。平戸が最後の県下一周で力を尽くしている。
 小浜入りの第2日最終13区。11番目でゴールした平戸の田島(陸自)は「差し込み」と呼ばれる脇腹痛でその場に倒れ込んだ。チームスタッフがすぐに抱え上げてケア。死力を尽くした仲間を、親身になってサポートした。「選手たちはみんなドンケツでもいいから走りたいと言ってくれた。ここまで頑張ってくれて誇りに思う」。小場総監督(ダイコウ建設)は思わず言葉を詰まらせた。
 第52回大会で8位になった以外は、常に下位に甘んじてきた。ただ、そんな記録も平戸にとっては“勲章”だ。北松・平戸チームから「平戸人がまったくメンバーに入れない」と訴えて独立したのが第27回大会。再度合併を打診された際も断った。最終日の夜、地元に帰って開く打ち上げには、いつも30人以上が参加する。みんな、郷土の名前と誇りを背負って走れる幸せを感じてきた。
 この日のスタートは地元平戸市。1区を任された今村文(福岡大)はオーバーペースでも先頭集団に食らい付いた。朝日に照らされる平戸大橋を走る時間は気持ち良かった。苦しくなった8キロ地点。自宅前で「ふみちゃん」と大きな激励を受けた。8位で中継所へ。大健闘だった。「平戸の良さを感じられるのがこの大会。平戸チームで良かった」
 現在、10位壱岐に25分分近く離されて最下位。最終日を前に、小場総監督がつぶやいた。「できることなら、まだまだ走りたい。終わってほしくない。どうにか続けられないものか」。優勝争いに負けないくらい、万感の思いを込めてゴールを目指す。

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