語呂に合わせて母に“逆襲” 普段言えないこと、三十一文字に乗せて さいたま子ども短歌賞表彰式

さいたま子ども短歌賞で優秀賞を受賞した児童生徒ら=21日午前、さいたま市浦和区の市青少年宇宙科学館の青少年ホール

 埼玉県さいたま市浦和区の市青少年宇宙科学館で21日、「第11回さいたま子ども短歌賞」の表彰式が開かれた。市教育委員会が主催。昨年7月から9月に全国の小中学生から短歌を募り、優秀賞20首、入選80首が選ばれた。

 さいたま市を中心に全国から応募があり、応募者は16980人、作品数は36388首が集まった。選考委員を務めた県歌人会会長の沖ななも氏は「普段言えないことも短歌だから言える。自分の記録として短歌を活用し、ぜひ歌を作り続けてほしい」と講評した。

 優秀賞の所沢市立南陵中学校2年の岡千遥さんは「華もない力もないこの僕の手で弾(はじ)けて魅せろ線香花火」と詠んだ。日ごろから物語を書くのが好きだといい、「受賞はうれしく、びっくりした。毎年家族みんなでやる線香花火を表現したかった」と語った。

 同賞の市立仲町小学校5年の小泉陽輝さんは「やさしくねされてるうちにあやまろう鬼にせぬため母のトリセツ」と詠んだ。「いつも謝らずに母に怒られている弟に向けてメッセージを送った」と話していた。

 同賞の市立三室中学校2年の坂元太耀さんは「毎日が戦いなのだ負けられぬ思春期僕と更年期母」と詠んだ。「いつも部屋を片付けなさい、食事の前に寝るなと言われている。語呂に合わせて母にぶつけてやろう」と思いを込めた。表彰式に参加した母は隣で苦笑いしていた。

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