「訪問介護」の現場で起きていること 課題は「時短」対策用の「バッグ」に反映されたスタッフの声

介護用品メーカーの「フットマーク株式会社」(本社:東京都墨田区)が訪問介護スタッフによる現場の声から生まれたバッグの新商品「トート・リュック プラス」を今月発売した。訪問介護の現場では「バッグ」をめぐってさまざまな声が寄せられているという。同社の開発担当者に話を聞いた。

同社では2018年に「トート・リュック」を開発。「2通りの使い方ができる」「自転車のカゴに入れられるので良い」「軽い」などの評価があった一方で、「少し高さが足りない」「訪問時に直にバッグを置きたくない」「背負った時に肩が痛くなる」「前ポケットが使いづらい」などの声があり、そうした意見を反映したのが今回の「トート・リュック プラス」(税込小売希望価格6490円)だったという。

同商品は「訪問介護スタッフ用」としてトートとリュックの2通りの使い方ができる。担当者は「『通勤時は両手が自由になるリュックを使用し、訪問時は荷物がサッと取り出せるトートとして使いたい』といった声に応えた商品です。たくさんの荷物を一つにまとめられる23リットルの大容量サイズで、タブレット用の専用ポケットや、荷物を探す手間を解消する浅めのポケット、バッグの底に鋲(びょう)を付けて汚れにくい仕様にするなど現場の声を反映しました」と説明した。カラーは黒に統一され、公式オンラインショップなどで販売中だ。

寄せられた意見の中にあった「訪問時にバッグを直に置きたくない」という声について聞くと、担当者は「訪問は一日一件ではないので、『(自身が)次の利用者様のお宅に汚れを持ち込まない』というお声もたくさんありました」と明かした。

また、介護現場での課題として「時短」の問題が挙げられるという。現場スタッフからは「貴重品を探す手間や、バッグに荷物が入りきらないため複数に分けて持たなければならない…といった〝プチストレス〟を解消してほしい」と望む声が上がっているという。それだけ、「限られた時間内に作業を完遂しなければ」というプレッシャーが強いということなのだろうか。

担当者は「複数に分けるのも荷物が増える、両手が空かなくなる、自転車移動時に面倒…などの理由があります。探す手間、取り出す手間、戻す手間などもあリます。利用者様のケアに集中するために、極力、他のストレスがかかることは排除したいと言われていた方もいました」と代弁した。

17日の発売から1週間を経た時点での現場の感想を聞いた。担当者は「(発売まもなくで)お声を取るのはまだ難しい段階ですが、サンプルをその場で試していただいた感想としては、『以前のトート・リュックよりも容量がアップしたのがよい』、『リュックのクッションベルトがしっかりしたのがよい』、『厚みがあるので肩への負担がなくてよい』などです」との反応を挙げた。

今後、新商品を通して介護現場での課題解消やストレス緩和につなげていけるか。

担当者は「現場から実際に使った感想や意見などありましたらお伝えいただき、まだ、その段階ではなければ、期待されることをお伝えいただければと思っています」とした上で、「訪問介護・看護に携わる方が、今以上にストレスなくケアができ、また限られた時間の中で利用者様に対応し、次のお宅へ移動するため、このバッグが時間短縮、整理整頓・忘れ物の防止に役立てばありがたいです」と思いを語った。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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