奥三河の山間にある東栄町は、田舎暮らしに憧れる移住者に人気を集めている町。東栄町には約100戸の町営住宅が整備されていて、月2万円からと格安で借りられることも人気の理由となっています。
移住者たちも「ロケーションが良い」「町の人たちが優しく、よその人も受け入れてくれる」と居心地の良さを話す東栄町。その魅力を肌で感じるため、1週間お試しでの移住生活を体験しました。
手軽でおいしい東栄チキン
町役場から紹介されたお試し移住生活の住居は、町の中心部から離れた足込地区にある一軒家です。庭は草木が生い茂っているものの、ロッジ風の立派な木造家屋に入っていくと中はきれいなまま。広々とした部屋の中には囲炉裏付きのテーブルまで備えられていました。
住むところを確保したら、今度は食の確保。山道を40分ほど歩いて到着した観光案内所で食材を買い出す場所を聞き、食べ物を確保します。
レンタル自転車を借りて向かったのは、地元の人たちが毎日足を運んでいるスーパー「食彩広場 東栄店」です。このお店で購入した地元東栄町の名物「東栄チキン」を野菜と一緒に炒めて夕飯を作ります。
味付きで販売されている東栄チキンは、野菜と炒めるだけでご飯のおかずにもお酒のおつまみにもぴったりな一品に。初めから味が付いているので、普段料理をしない人でも手軽にご飯を楽しめます。
レンタル自転車で温泉と五平餅を満喫
今回借りた家は給湯器が故障中でした。風呂に入れなかったので、自転車でひとっ走りして近くの温泉へ。「とうえい温泉 花まつりの湯」は、肌に優しく体の芯から温まることができると評判の天然療養泉です。大きな露天風呂にゆったりと浸かれば、山暮らしの疲れも癒やされます。
施設内で温泉と一緒に楽しみたいのが五平餅です。朝炊いたご飯を粒が少し残る程度の「半殺し」につぶして1つずつ成形。焼き上げた五平餅は、熱々もちもちの食感と香ばしさがたまりません!
昔ながらの掘りごたつ
人口2800人の東栄町で暮らす人たちは、山とともに暮らすのが当たり前。町を散策中に出会った佐々木さんは、原木のシイタケを育てているとのこと。山の中を案内してもらいました。
佐々木さんが育てる原木のシイタケは折り紙付きで、炭火で焼いたときのおいしさは格別! 無人販売の小屋に並べると、あっという間に売り切れになるほど人気です。
そんな佐々木さんの自宅にあったのが昔ながらの炭火の掘りごたつ。囲炉裏のように掘り込まれたこたつの中に炭火を入れれば、部屋全体がぽかぽかと温まります。
食べるのに勇気がいる東栄町の伝統食
移住生活の挨拶に訪れた原田さんが振る舞ってくれたのは「ヘボめし」です。ヘボめしとは、クロスズメバチの幼虫と成虫を入れた炊き込みご飯のこと。昔から貴重なタンパク源として食されてきた東栄町の郷土料理です。
幼虫も成虫もそのままの形で入ったパンチのある見た目ながら、そのおいしさは抜群!体に良いと言われており、今でも東栄町では食されていると原田さんが教えてくれました。
700年続く伝統の神事「花祭」
お試し移住生活で仲良くなった町の人たちに誘われて向かったのは、約700年前から東栄町で伝承されてきた「花祭」。五穀豊穣・無病息災などを祈る神事は、国の重要無形民俗文化財としても指定されています。
東栄町の人たちは年に一度の「花祭」を毎年楽しみにしていて、町を出た若者たちもこの日は里帰りして参加するほど。夜には多くの観客が集まり、いっそう盛り上がりを見せます。
すると、祭りの関係者に声をかけられて特別に花祭へ飛び入り参加! 鬼の面をつけ、ぶっつけ本番で舞を奉納します。その後、祭りは夜通し行われました。
1週間の移住生活体験で感じたことは、町で出会った人たちが優しく声をかけて受け入れてくれたこと。東栄町民の温かさに触れるほど、移住したい気持ちがますます高まりました。