意外と知らない「犬の嗅覚」のヒミツ

こんにちは。内田友賀です。

私たちが実施する小学校での動物介在教育では、「観察」は子どもの探求心を引き出す時間として、とても大切な役割を持っています。

この時間、子どもたちは視覚だけではなく、嗅覚や触覚もフルに使い、ぐっと犬たちに顔を寄せながら「なぜ?」を見つけ出します。本やネットで調べられる“知識”だけでは味わえない、心が踊る感覚を持つのです。

そんな観察の時間から、今日は「嗅覚」に焦点を当て、大人もあまり知らない“犬のカラダの不思議”についてお話したいと思います。

じっくりと観察することから始めよう

さて、皆さんは愛犬の「鼻」を、どれだけ興味深く観察したことがありますか? おそらく、ほとんどの飼い主さんが毎日のコミュニケーションの中で、見たり触ったりしていると思います。

では、人と犬の鼻の違いを、どれだけ挙げられるでしょうか?

授業中の子どもたちの発言から考えてみましょう。

「色が黒い」と色の発言が出ると、「この子は茶色いよ!」と別のグループ。

「濡れてるよ!」「それって鼻水なんじゃない?」「違うと思うよ。多分、舐めたんだと思う」と触った感覚をもとに理由を考えます。

「なんかさ、マッシュルームの形みたい」「うんうん。鼻の横が切れてる」「ブツブツもある」「線も入ってるよ」と形についての発見は盛りだくさん。

皆さんは、この子どもたちのように、どのくらいたくさんの「特徴」を見つけられたでしょうか。観察というのは、“知っているつもり”からは生まれてきません。知らなかったことや気づかなかったことを見つけていく中で、発見ができるのです。

どうして、そうなっているんだろう?

そこで、児童たちに問いかけます。

「みんな、よく違いを見つけたね。じゃあ、どうしてそうなっているんだろう? なんで、人間とは違うんだと思う?」

その違いに「なぜ?」という疑問を持つことから、探求が始まります。

「犬ってさ、人間より鼻がいいじゃん。だからじゃない?」と、多くの場合、犬に詳しい児童が最初に発言をしてくれます。

「なるほど。確かに犬は人間より鼻がいいよね。じゃあさ、なんでその色なの? なんでその形なの? 何で湿っているの?」と問いかけます。

さて皆さんは、何と答えるでしょうか。

実はここが、多くの大人が“知っているつもり”になっているポイントなのです。

「確かに、そこまで考えたことなかった」

これに対して、大人は答えを知りたがりますが、子どもたちは想像力を働かせていきます。

知ると、楽しくなる! もっと好きになる!

ここからが、子どもたちの「発見できた!」の気持ちをくすぐる大切な時間です。

何のために鼻が濡れているの?

どうしてそんな形をしているんだろう?

鼻の色も重要な役割がある!?

実は、これら全てに理由があるのです。

でも、答えを教えるだけでは児童たちの心に感動や驚きは生まれません。だからこそ、問いかけることで児童たちは目を輝かせ、五感をフル活用し、想像力を働かせながら犬のカラダを観察していきます。

犬の嗅覚のすごさ

皆さんは、雨の日に匂いを強く感じた経験はありませんか? 実は、匂いは水分に触れることで匂いが強くなる特徴があります。そのため、犬は鼻を濡らすことで香りをより強くしているのです。さらに、犬の鼻の両端には切れ目があります。これは、出来るだけ空気をたくさん取り込むためのカタチ。そして、黒という色は光や匂いを吸収しやすいと言われています。

そこまで匂いを嗅ぐことに特化した犬の鼻ですから、人間よりも嗅覚が鋭いのはご存じの通りかと思います。それは、1000倍とも1万倍とも、そして訓練を積むことで1億倍にもなると言われています。

しかし、それだけではありません。

例えばカレーの匂いが漂ってきたとしましょう。人間の場合、嗅覚の能力としては「カレーだな」という判断までですが、犬たちはそこに入っている具材の匂いまで当てられると言われています。

つまり、同時に香ってくる複数の匂いから、特定の匂いを嗅ぎ分けられるという能力が備わっているのです。

残念ながら、意図的に嗅覚を生かす経験が少ない犬たちの場合、暮らしの中で「あまり必要ない能力」として衰えてしまいますが、、、。

(あれ、妙にリアルなチーズの夢だぞ・・・? まるで本物のチーズの匂いみたいだ!) それでも、「なんで、このバッグにオヤツが入ってるって分かったの?」という経験のある飼い主さんは多いと思います。

犬たちにはね、バッグの底に入ったオヤツだって「バレバレ」なのですよ。

Lots of love.

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