建立900年の中尊寺金色堂に光 コロナ後の観光客回復に期待

各地からの参拝者でにぎわう中尊寺境内。金色堂建立900年を皮切りに、節目が続く=27日、平泉町

 世界遺産・平泉のシンボル、中尊寺金色堂は建立から900年。東京国立博物館では特別展が開催され、改めてその価値に光が当たっている。幾度の危機を乗り越えた東北最古の現存建造物は、紛争や災害が絶えない現代に、平和を願う奥州藤原氏の精神を伝え続ける。中尊寺は今後も落慶供養900年など大きな節目が続き、地元では観光客回復への期待も高まっている。

 冷え込みの中、27日も各地から参拝者が訪れ、金色堂覆堂の前では大勢が足を止めた。埼玉県戸田市の岩間浩昭さん(56)は「テレビや本で知っていた金色堂をこの目で見たかった。よく900年間残っていたと思う」と感激した様子だった。

 中央壇の仏像11体が外部で初公開されている東京の特別展でも、多くの来館者が国宝を間近にしており、奥山元照貫首は「優しい心で平和な世界をつくっていくんだという清衡公の気持ちを仏様の表情から見取っていただきたい」と話す。

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