菅井八段 押し切られ3連敗 王将戦、藤井八冠が3連覇に王手

王将戦第3局を落とし、厳しい表情で感想戦に臨む菅井八段(手前左)。同右は藤井王将=28日午後5時20分、島根県大田市

 将棋の第73期王将戦7番勝負の第3局は28日、島根県大田市の「国民宿舎さんべ荘」で2日目が指され、後手の藤井聡太王将(21)=竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・棋聖との八冠=が94手で挑戦者の菅井竜也八段(31)=岡山市=を破り、開幕3連勝で3連覇に王手をかけた。

 対局は菅井八段が藤井王将とのタイトル戦番勝負で初めて「向かい飛車」を採用し、強気な攻めを見せ、藤井王将が「想定していない展開」と振り返る難解な将棋となった。2日目は、菅井八段が中盤の勝負どころで封じた45手目から再開し、初日終了時点でやや主導権を握っていた藤井王将が正確な指し回しで次第に優勢を築いた。菅井八段も勝負手から盛り返しを見せたが、精度の高い攻めの前に押し切られ、タイトル奪取へ後がなくなった。

 持ち時間各8時間のうち、残りは菅井八段1時間12分、藤井王将55分だった。

 この日、さんべ荘で開かれた大盤解説会には、菅井八段の後援会・竜棋会のメンバー9人が駆けつけ、熱戦を見守った。前会長の藤原雄三さん(85)=玉野市=は「負けたのは残念だが、本来の菅井八段らしい将棋で中盤までは互角に戦えた。次は意地を見せてほしい」と話した。

 王将戦7番勝負は2日制で、先に4勝した棋士がタイトルを獲得。菅井八段が奪取すれば初戴冠となる。第4局は2月7、8日、東京都立川市の「オーベルジュときと」で指される。

諦めず頑張りたい

 菅井八段の話 違うことをやってみようと向かい飛車を選択したが、初日に形勢を苦しくしてしまった。スコア的には厳しいが、諦めずに頑張りたい。

次もこれまで通り

 藤井王将の話 中盤の互いに難しい局面で読みが甘いところがあったのは反省点。7番勝負は全体で一つの勝負だと思うので、次もこれまで通り臨む。

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