4年ぶり争奪戦激しく 取り主は工藤さん(盛岡) 金ケ崎・永岡蘇民祭

おらが村の永岡蘇民祭で4年ぶりに再開された蘇民袋争奪戦

 第36回おらが村の永岡蘇民祭(実行委主催)は28日、金ケ崎町永沢関田前の永沢土地改良区駐車場で開かれた。コロナ禍の影響で自粛してきた蘇民袋争奪戦を4年ぶりに再開。青空から日差しが降り注ぐ穏やかな天候の下、町内外から参加した下帯姿の男たち31人が冷たい清めの水を浴びながら、激しい肉弾戦を繰り広げた。

 開会式では実行委の髙橋利男委員長(74)が「昭和63(1988)年に見舞われた水害からの復興を願い、何よりも地域の皆さんに元気を与えたいという思いで始まったのが、この蘇民祭だ。地震で被災し、大変な状況にある能登半島にまで伝わるように裸男衆へ温かい声援を送り、盛り上げてほしい」とあいさつした。

 祈祷(きとう)祭に続く餅つき、福飴(あめ)や福銭まきなどで場内が活気づく中で始まった蘇民袋争奪戦では、下帯姿の男たちが幾重にも蘇民袋を取り巻いて激しくもみ合い、地べたに崩れ込んで最後の取り合いになると、来場者らが固唾をのんで勝負の行方を見守った。

 栄えある取り主となったのは、2016年に行われた第28回以来3度目という同町永栄細野出身の会社員工藤政好さん(40)=盛岡市在住=。「まさかとは思ったが、運が良かった。参加したからには取り主になりたいと、最後まで諦めなかった。4年ぶりの争奪戦再開となり、地域の人たちと一体となって楽しめる祭りがあるのはうれしいことだと改めて感じた」と喜びに浸った。

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