神奈川県勢選手の前例なき挑戦 28年ロス五輪で復活のラクロス、初のスカッシュ 早くも熱気は海を越える

スカッシュで4年後の五輪出場を目指す安成(左)と安藤=2023年11月、横浜市港北区

 今夏のパリ五輪の次に開催される2028年ロサンゼルス五輪の追加競技として、新たに5競技が採用された。120年ぶりに復活するラクロスと初めて実施されるスカッシュは全国的に活躍するトップクラスの神奈川県勢選手が多い。競技人気の高まりや普及の契機と捉えて活動に熱を入れるとともに、4年後の出場が期待される若手有望プレーヤーたちは胸を躍らせている。

 昨秋、インドで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、ラクロス、スカッシュを含む5競技がロス五輪の追加競技に決まった。21年の東京五輪で採用された野球・ソフトボール、空手などがそうだったように、追加競技は開催国の大会組織委員会が独自色を出す。ラクロスやスカッシュは米国と比べて日本でなじみが薄いかもしれないが、早くもその熱気は海を越えて波及している。

 今月14日。ラクロスの第33回全日本選手権(男女)が横浜スタジアムで初めて行われた。例年は12月に江戸川区陸上競技場(東京都)で開催されていた中、1908年ロンドン大会以来の五輪復活をきっかけに食品メーカー大手の日清食品が協賛につき、収容人数を増やした同スタジアムに変更。選手やチームを取り巻く環境の変化は、6000人を超えた観客動員数にも表れた。

 女子最優秀選手には、座間高出身の日本代表・藤井真由(24)=NeO=が輝いた。「知人からは、横浜スタジアムでやることに興味を持ってくれた。この舞台でできたことに感謝している」と喜び、「あと4年というタイムリミットも決まった。長いようであっという間だと思う」とロス五輪に向けて士気を高める。

 藤井は平日フルタイムで、高齢者の介護予防の職に就いている。仕事が終わった後にトレーニングに励み、土日に所属チームの練習に参加する。ラクロスが五輪追加競技に決まり、これまで以上に集中して競技に時間を割けるよう、今後は時短勤務の対応など会社側と話を進める予定という。

 ラクロスがまだ認知度が低いことは理解している。「いまは追加競技になったことで注目していただいている。世界大会でメダルを獲得しないといけない」。前回の世界選手権5位を上回る結果を残すべく、緊張感は常に維持している。

© 株式会社神奈川新聞社