【がんばれ!郷土力士】被災地励ました15日間 敢闘賞の大の里「いい報告」

  ●「石川の応援ずっと届いていた」

  ●輝9勝目、欧勝海と石川対決

 石川が生んだ大器が幕内デビュー場所で抜群の存在感を示した。横綱、大関にも挑戦した大の里は初場所千秋楽の28日、11勝目を手にし、13勝の照ノ富士、琴ノ若に次ぐ成績を収めて敢闘賞を受賞。被災したふるさとを少しでも元気にしたいとの思いを胸に15日間を闘い抜き「ずっと応援が届いていた。石川にいい報告ができると思う」とすがすがしい笑顔を見せた。

 津幡町後援会から贈られた「火牛(かぎゅう)の計」をモチーフにした化粧まわしを着用し、千秋楽の土俵入りに臨んだ大の里。16歳上の「鉄人」、玉鷲との初顔合わせは、立ち合いで一気に押し込み、タイミングよくいなして引き落とした。

 支度部屋で最も印象に残った一番を尋ねられると「やっぱり結び」と12日目の横綱照ノ富士戦を挙げた。「横綱はすごい。あの空気感で相撲を取れるなんて1年前は想像していなかった」と躍進の場所を振り返った。幕内中位まで番付が上がる見通しの来場所へ「この経験を生かしたい」とさらなる精進を誓った。

 東十両7枚目の輝と、新十両で西13枚目の欧勝海との初の「石川対決」は先輩が意地を見せた。

 左から押して浮かせ、休まず追撃して押し出した輝が9勝目。場所前から被災地のことを心配する言葉を何度も口にしていた輝は「(自分の取組から)少しでも何か伝わればいい」と話した。3場所ぶりの勝ち越しで幕内復帰に一歩近づき「最後に自分らしい相撲で終われた」と満足そうに語った。

 敗れた欧勝海は「石川同士でやりたくなかった」と苦笑。同じ土俵に上がるのは、高校1年時に高田川部屋に合宿に行き、ぶつかり稽古で胸を借りて以来で「あの時は全く押せなかった」というが、成長の跡も示した取組となった。初の15日間を終え「勝ち越せて良かった」と一息ついた。

  ●遠藤は逆転負け

 西前頭13枚目の遠藤は東前頭9枚目の御嶽海を突いて攻めたが、土俵際で突き落とされて5勝10敗で終えた。苦しみながらも土俵に立ち続け「声援に支えられた」と感謝。十両陥落の可能性もあるが「一生懸命やった結果」と受け止めた。

 東三段目83枚目の炎鵬(金沢市出身、金沢学院大OB、宮城野部屋)は全休し、復帰予定の来場所は序二段50枚目前後に番付が下がる。

  ●朝乃山9勝で終える

 西前頭7枚目の朝乃山(富山市出身、高砂部屋)は関脇大栄翔に引き落とされ、9勝3敗3休で終えた。被災地へ「自分なりに土俵の上で闘う姿を見せられたかな」と思いを寄せた。

© 株式会社北國新聞社