朝乃山、故郷へ届けた闘う姿 難敵攻略ならず、9勝で終え

  ●来場所は東前頭筆頭見込み

 大相撲初場所(両国国技館)千秋楽の28日、西前頭7枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は、関脇大栄翔(追手風部屋)に引き落とされ、9勝3敗3休で今年最初の土俵を終えた。能登半島地震で被災したふるさとに元気を届けたいと土俵に立ち「物足りない部分はあるけど、自分なりに土俵の上で闘う姿を見せられた」と思いを寄せ、来場所は三役復帰に挑む。

 約3年ぶりに「これより三役」のそろい踏みに臨んだ朝乃山。優勝を争う横綱照ノ富士、関脇琴ノ若とともに土俵に上がると、会場からは大きな拍手が沸き上がった。そのまま土俵に残り、難敵の大栄翔と向き合った。

 得意の右差しを警戒されることを考え、逆の左四つを狙って立ったが、持ち前の出足の勢いが失われた。大栄翔のもろ手で突き起こされると、足が滑って土俵際に押し込まれる。強引に出たところで引き落とされ、足が出ずに土俵に手を着いた。

 大栄翔とは、復帰後は不戦敗を含めて5連敗となり、活路を見いだせずにいる。「いつも右を固められているので自分なりに考えて、立ち合いを変えた」と試行錯誤の末の立ち合いだったが、踏み込みの精彩を欠く結果になった。

 押し込まれた際にバランスを崩しており「滑って負けるのは稽古が足りないということ」と自戒を込める。目標としていた2桁勝利にはあと一つ届かず、支度部屋では厳しい表情を浮かべ、優勝決定戦に臨む横綱照ノ富士の姿を見詰めた。

 平幕上位に好成績者が少なく、来場所は一気に東前頭筆頭まで番付を戻す見込みだ。今場所は26歳の琴ノ若が大関昇進を確実にする13勝の好成績を残し、23歳の新入幕大の里(津幡町出身)も大器の触れ込み通りの力を見せた。新世代の台頭を受け、3月に30歳となる元大関は「いい意味に捉えて、もう一回頑張る」と語り、三役復帰を懸けて来場所に臨む。

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