猫にちゃんと伝わる『褒め方と叱り方』5選 愛猫にわかってもらうためのポイントとは

「猫はしつけられない」は大きな誤解

猫は群れを作らずに単独で生活する動物で社会性がなく、そのため褒めたり叱られたりしても意味が理解できずにしつけることができない、と思っている飼い主さんはいまだ多いように思われます。

人間とは異なり、猫は基本的に「悪意」を持っていません。悪意や意地悪で行動することはなく、その場で「最適だ」と自己判断した通りに行動します。そのため猫には罪悪感がなく、叱っても反省することがないのです。

しかし猫にも自分の身を守る本能があるため、「しない方が良いこと」や「積極的にした方が良いこと」などを学習する能力が備わっています。自分の行動の結果、死にそうになったり、怖い思いや嫌な思いをすれば二度と繰り返しませんし、良い思いをすれば積極的に繰り返そうとします。

この学習の思考方法を利用することで、猫に「してほしいこと」や「してほしくないこと」を教えることができます。

基本的な考え方は、「してほしいことをした直後には猫が喜ぶことをする」ことと、「してほしくないことをした直後には猫が嫌がることをする」ことです。子どもへのしつけ方に例えると、前者が「褒める」、後者が「叱る」に該当します。

ただし、家具で爪を研ぐ、人の手や足に噛みつくといったような飼い主さんにとって都合の悪い行動は、猫には当たり前の行動だということを忘れてはなりません。

「してほしくない行動をさせない環境作り」を考え、それでも防げない行動をしつけで対処しましょう。

猫にちゃんと伝わる「褒め方と叱り方」

では、猫にはどのようにしつけるべきか、ここからは猫にきちんと伝わる「褒め方と叱り方」について解説します。

1.猫が喜ぶことをして褒める

愛猫と飼い主さんの間にしっかりとした信頼関係が築けている場合は、「いい子だね」などと優しく声をかけることで猫は喜びます。しかし、猫に「◯◯をすると良いことがある!」と教えるためには、より積極的に猫が喜ぶことをした方が効果的です。

顎の下や耳の付け根、眉間など、愛猫が喜ぶ部位を撫でながら、やさしく言葉をかけたり、大好きなおやつをあげたりしながら褒めることで、「してほしい」行動を積極的に引き出せるようになります。

2.強化したい行動の直後に褒める

猫に「行動とその結果」を結びつけさせるためには、「時間をあけない」ことが必須要件です。猫は、今起こっていることを数分前の自分の行動と結びつけることもできません。

もし愛猫が「してほしいこと」をした場合、『その直後に褒めなければ意味がない』ということを覚えておきましょう。

過去の行動に対してどんなに褒めても、「してほしいこと」を積極的にさせる効果はありません。

3.「嫌なことが起こる」と記憶させることで叱る

愛猫が「してほしくないこと」をした場合、猫が嫌がることをすることで「◯◯をすると嫌なことが起こる」と覚えさせる必要があります。そのため、愛猫がちゃんと嫌がることをしなければ意味がありません。

例えば、愛猫がかまってほしくて飼い主さんの行動の邪魔をするような場合、大きな声やリアクションで叱りつけても意味がありません。猫は「叱られている」とは感じずに、「かまってもらった!注目された!」と喜んでしまい、益々飼い主さんの行動の邪魔をするようになるだけです。

こういう場合は、猫が何をしても無反応でいることが肝心です。多くの場合、猫にとって最も効果のある叱り方は「無視」であることを覚えておきましょう。

4.恐怖感を与えずに叱る

愛猫を叱る時に、恐怖感を与えないことがとても大切です。冒頭で説明した通り、猫には守るべきルールや道徳感などはなく、また悪意を持って意地悪をすることもありません。基本的に自分の行動を反省することがないのです。

愛猫を叱るときに、感情に任せて大声を出して怒鳴りつけたり、近くにある机などを思いっきり叩いたりするのは、ただ怖がらせるだけで何の効果もありません。それどころか、飼い主さんに対する不信感を募らせるだけです。

少し低めの声で短く「ダメ!」などと言って行動を止めるだけにとどめ、叱りつけたり手を上げたりと言った行動は決してしないように気をつけてください。

5.やめさせたい行動の直後に叱る

褒める時と同様に、叱るときもタイミングが大切です。愛猫が「してほしくないこと」をした直後に叱らなければ、猫は自分の行動とその結果(叱られる)を結びつけることができません。

例えばソファに残っている傷を見て「ここで爪とぎをしちゃダメって言ってるでしょ!」と叱っても、ソファでの爪とぎをやめさせる効果はまったくありません。

こういう場合は、ソファで爪をとげなくするような工夫を施した上で、ソファのすぐそばに猫専用の爪とぎ器を設置するというような対策が効果的です。

また、爪とぎ器にもいろいろな素材や形状のものがありますので、愛猫が気に入ってくれるものを見つけることも大切です。

まとめ

人間のように道徳やルールに縛られず、悪意や意地悪といった気持ちも持っていない猫にとって、基本的に「叱る」ことに意味はありません。

してほしくない行動をできるだけ引き出さないような環境を整え、叱るよりも褒めることを中心にしたしつけ方を心がけることで、愛猫も飼い主さんも気持ちよく共同生活を送ることができるでしょう。きちんと猫が学習する際の思考方法を理解し、猫に効果的なしつけ方を学びましょう。

最終的に必要なのは、飼い主さんの工夫と根気です。頑張って、愛猫との生活を楽しみましょう!

© 株式会社ピーネストジャパン