西彼・西海が有終V! 大会を通じチーム成長…立役者はエース小林 県下一周駅伝・最終日

 若い力がつないだたすきの勢いは、最後まで止まらなかった。一般男子の平均年齢21.3歳の西彼・西海が、最後の県下一周で総合優勝旗を獲得。レース後、選手たちの力強い腕で宙を舞った澤勢総監督(エネルギーネットワーク長崎)は「最後の大会で最高の結果。選手、スタッフ、応援してくれる人たちの熱気が、3日間ずっと監察車に伝わっていた」と感慨に浸った。
 他チームから「優勝候補筆頭」とマークされて入った今大会。一人一人が重圧を感じていたが、恐れを知らない若さがそれを振り払った。第1日に日間首位で発進すると、第2、3日は日間首位を逃しながらも、思い切りのいい走りで後続との差を広げた。実業団勢と大学、高校生の力がかみ合い、チームは大会を通じて成長していった。
 その中で「一番大きかったのはエース小林(帝京大)の存在」(澤勢総監督)。正月の箱根駅伝9区で3位の大学3年生は、第1日8区を区間タイで快走すると、最終日は大会最長19.2キロの1区を首位と2秒差の2位でフィニッシュ。「小学生のころから目標にしてきた大会。その最後に一番大事な区間を任せてもらえた。後ろとの差を広げられて良かった」。この時点で2位との差を7分51秒に広げ、チームは優勝へ大きく前進した。
 胴上げが終わった後、澤勢総監督は応援に来ていた父親の正敏さんと握手を交わした。正敏さんは西彼・西海の総監督として、チームを2度優勝に導いたことがある地元の名将。「少しだけ父親に近づけましたかね…」。そうつぶやいた瞬間、それまで我慢してきた涙が少しだけこぼれた。

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