のと鉄道が代替バス運行 高校生「ありがたい」 七尾―穴水間 線路の被害大きく

のと鉄道が運行する代替バスを利用し、JR七尾駅で降りる生徒たち=29日午前7時15分、JR七尾駅

 能登半島地震で被災し、全区間で運休しているのと鉄道(穴水町)は29日、バスによる代替輸送を開始した。通学利用が多い朝夕の時間帯に七尾―穴水間で上下線計14便を運行する。初日は沿線にある高校に通う生徒が多く利用。地震発生から4週間、日常が少しずつ戻り始めた。

 運行初日の29日、穴水駅を午前6時10分に出発した始発には高校生ら13人が乗車し、約1時間かけて終着の七尾駅に到着した。

 22日からオンラインで授業を受けている七尾高2年の大橋咲穂さん(17)=穴水町川島=は「日常生活が戻ってきた。友だちとは地震以外のことで楽しい話をしたい」と喜び、七尾高2年の泉咲希さん(17)=穴水町川島=は「バスが出てくれるだけでもありがたい」と歓迎した。

 代替バスは七尾方面の上り、穴水方面の下りとも各7便で、停車場所はいずれも駅のそばに設けた。区間の全8駅を経由するのは上り、下り各2便となる。所定の運賃と定期券で利用できる。 

 のと鉄道は崩れた土砂がトンネルをふさいだり、線路が地面から浮き上がったりするなどの被害を受けた。線路を保有するJR西日本が復旧作業を進め、2月中旬に七尾―能登中島間で運行を再開する見通しだが、被害の大きい能登中島―穴水間は見通しが立っていない。

 同社は全区間で列車の運行が再開するまでバスによる代替輸送を実施する。中田哲也社長(61)は「これが住民の生活の足を確保する第一歩。安全に運行することがわれわれに課せられた使命だ」と話した。
 

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