出雲路、伊勢路、箱根路…支え続けた夫婦の二人三脚 「駅伝の大東」率いた名将描く「新 青葉のタスキ」

小説「新 青葉のタスキ」を紹介する著者の大内一郎さん

 埼玉県秩父市出身で大東文化大学の陸上競技部監督として箱根駅伝を4度制するなど多くの栄冠に導いた名将、青葉昌幸さんの半生をつづった小説「新 青葉のタスキ 次の人のために」が、まつやま書房(東松山市)から発売された。昨秋、コミュニティーFM「ちちぶエフエム」(同市中町)で放送された連続ラジオ小説の脚本をノベライズし、駅伝に熱を注ぐ青葉夫婦の心情を細かく描写した一冊。正月の風物詩で栄冠を勝ち取った様子を支えた人たち目線で感じ取れる。県内の書店やネットで販売している。

 著者の大内一郎さん(65)は「駅伝に限らず、『つなぐ』という言葉は生きていく上で欠かせないフレーズ。この本を通して、さまざまな思いを次世代につなぐ大切さを知ってほしい」と熱く語る。

 県立松山高校陸上部OB会理事である大内さんは、2017年に小説「青葉のタスキ われらは人生の駅伝選手である」(まつやま書房)を出版。19年には、秩父市出身の漫画家比古地朔弥さんが同小説のコミック版「青葉のタスキ」(埼玉新聞社)を刊行した。

 前作は、大東大を史上初の大学3大駅伝制覇に導いた青葉さんを主人公に、駅伝選手の笑いや挫折の日々をつづった。今作は、大東大陸上部の躍進を陰で支え続けた、青葉監督の妻ハツエさんの活躍にスポットを当てた、夫婦二人三脚の愛情劇が中心。

 大内さんは「前作では書ききれなかった青葉さん夫婦のエピソードを全て詰め込んだ。作中に秩父夜祭や三峯神社など、秩父の風景が登場するので、駅伝とともに秩父観光の魅力も感じてほしい」と勧めている。

 A5判244ページ、税抜き1300円。問い合わせは、まつやま書房(電話0493.22.4162)へ。

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