【50代からやるべき防犯】「SNS」からやってくる詐欺に引っかからないためには?

「犯罪白書」によると、年齢層別では65歳以上の女性が犯罪被害にあいやすく、その中でもトップなのが「詐欺被害」。ここでは、どういった詐欺の種類があるのかと、種類別の対策法を防犯アドバイザーの京師美佳さんに教えていただきました。第5回は「SNS」からやってくる詐欺です。

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「SNS」からやってくる詐欺の種類

ロマンス詐欺や、なりすまし詐欺、閉店セール詐欺などSNSのメッセージ機能からさまざまなメールが届きます。激安品の広告も多くあらわれますが、うまい話には要注意です。

①「モニターをしませんか?」詐欺

モニター募集サイトにも詐欺がひそんでいます。エステや審美歯科などでは、まず100万円以上の高額な料金を払って施術を受けます。モニターに参加することで支払った金額が「月1万円程度の謝礼」として戻ってくる設定ですが、数カ月で支払われなくなってしまいます。

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②「デパートの閉店セールでブランド品が安く買えます」詐欺

SNSなどで「閉店のため30万円のバッグが3万円で!」などとお買い得な広告をよく見かけます。しかし高級ブランドが9割引きで販売されることはありえません。本物と見分けがつかない偽物か、素人でもわかる偽物が送られてくるか、そもそも商品自体が送られてこないかという結果に。

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COLUMN「見分けの難しい『お助けください!』詐欺」

「お助けください。あなたが買ってくれたら倒産しないですみます」「間違って大量に仕入れてしまいました」「災害で在庫が余っています」といったSNSの誇大広告も、本当に困っている人と詐欺との見分けがつきにくいので厄介です。直接の知り合いでなければ同情は無用かも。

③「副業しませんか?」詐欺

「1日10分で月100万もうかる方法を教えます!」といった副業ビジネス広告も本当に増えました。この中には、大量に商品を購入しないといけないマルチ商法の勧誘が紛れている懸念が。やっかいなのは、大手求人募集サイトなどにも掲載されるので、詐欺だと気づきにくいことです。

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④「セミナー参加しませんか?」詐欺

「自己啓発セミナー」「投資セミナー」「起業セミナー」など、SNSのメッセージから直接勧誘をされます。セミナーの参加費自体が高額な場合もありますが、無料セミナーで客寄せをして、実際にセミナーに参加すると高額な情報商材やサービスを購入させられることになります。

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⑤ロマンス詐欺

SNSで、女性は見知らぬ医師や弁護士、警察官、実業家、男性は若い美女などから友達申請がくることがあります。知らない人なのにうっかり承認すると、毎日のように愛の言葉を言われ続け、ついだまされてしまいます。最終的には「お金を貸してほしい」と言われることに。一度も本人と会っていないのに、結婚詐欺だと思わずに大金を融通してしまう人が実は急増中なのです。

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COLUMN「詐欺ではないが悪徳商法にも気をつけて」

新築一戸建てには設置が義務化される「太陽光発電パネル」。電話で「モニターになりませんか」「今なら○○キャンペーンでお得です」などと営業されます。設定金額が相場より高いケースが多く、販売価格が2倍だった例も。

また、詐欺ではなくても投資はばくちと同じ。素人が手を出すと大損をすると肝に銘じましょう。

「SNS」からやってくる詐欺対策

SNSとはソーシャル(社会的)ネットワーキングサービスのこと。社会に個人情報が知られる危険をお忘れなく。

対策【A】無料のモニター募集、閉店セール。おいしい話には飛びつかない

化粧品などの商品を開発するためにモニターで治験を行うのは大切です。それが無料であり、人助けにも役立つとなれば、つい気軽に応募しがち。広告を載せているSNSは信頼できても、信頼できる業者なわけではありません。金銭被害だけでなく、個人情報を相手に渡してしまいます。

「閉店セール」もしかり。お得な話には飛びつかないのが一番です。

対策【B】副業でもうかる、セミナーでもうける、「もうかる」サイトは詐欺だと思って

「もうかる」という言葉には人を引きつける魔力があります。が、楽してもうかるなんて、そんなうまい話はありません。勧誘広告がネットではたくさん出てきますが、それは信頼できる相手ですか? 知り合いから勧誘されることもありますが、その先にいる業者をあなたが知らないなら危険です。

対策【C】パイロットや医者の友達申請は、ほぼロマンス詐欺。お金の話が出たらシャットダウンを

SNSなどのD‌Mで連絡してくることが多い詐欺です。初めは警戒していても、長く続くやりとりでだまされてしまいます。特に華やかな生活をSNSにアップしていると狙われます。

直接知らない外国人社長、パイロット、医師などは、ほぼロマンス詐欺。プロフィール写真を画像検索すると本物が出てきたり、同じ人があちこちに登場したりしています。何より会ってもいない人間にお金を送れと言われたら、間違いなく詐欺です。

「SNS」で気をつけるべきこと

うまく活用すれば、人間関係を豊かにするSNSですが、個人情報を扱っているという自覚が大切です。詐欺ばかりか、強盗にも狙われないためのSNS利用の基本です。

SNSはすべて事後報告。旅行自慢は帰ってから

SNSの投稿で、不在であることがわかってしまうことがあります。「今、旅行で○○に来ています」などと外出していることをリアルタイムで投稿するのはNG。

お葬式の日程もSNSで公開しないように。後日まとめてアップするようにしましょう。

GPSをオフにして自宅がバレないようにする

スマホの位置情報をオンにしていると、地図アプリで居場所をリアルタイムで教えてくれたり、スマホをなくしたときに便利です。

しかし位置情報がオンのまま写真を撮ると撮影場所や撮影日などが記録され、SNSに投稿すると第三者に居場所がバレます。「素敵な虹が見えました」といった部屋からの景色をアップするだけで、あなたの自宅の住所は知られてしまうのです。

スマホは設定からアプリごとに位置情報をオンオフできるので、面倒ですがインスタグラムやX(旧ツイッター)といったSNSは、すべて位置情報をオフにするようにしましょう。

写真を投稿するときは解像度に気をつける

ストーカー被害にあったあるアイドルは、瞳に映り込んだ景色から自宅が特定されました。最近のスマホのカメラは高解像度で映すことができるので、写真を拡大することでさまざまな情報を手に入れることができます。

たとえば自宅で映り込んだ段ボールのあて名書きから住所を特定されたり、映り込んだ箸袋の店名から行きつけの店を特定するケースもあります。自宅周辺の風景や看板も同様。写真をアップするときは気をつけてわからないように加工しましょう。

公共でもフリーWi-Fiは使わないようにする

外出先でスマホやパソコンをWi-Fiにつなげている人がいますが、公共のWi-Fiでも使わないほうが無難。なぜなら駅や空港、店などで本物よりも偽物が上に上がってくることもあるからです。インターネット共有もオフにして。

たとえば「羽田空港」「羽田エアポート」といった名前であっても、偽物のWi-Fiであることが。本物と偽物の見分けがつかず、アクセスをして情報を抜かれることがあります。

ホテルの部屋など暗証番号がついているものや、お店や会議室のWi-Fiとして表示されているものは使ってかまいませんが、アドレスが1文字違いのまぎらわしい偽物も入り込んでいるので要注意。

SNSの投稿回数を減らす

SNSで「いいね」をもらったりコメントをもらったりすると、承認欲求が満たされます。承認欲求は誰しも持っていて、満たされると心地よいもの。もっと「認められたい」という気持ちが生まれ、SNS依存症になることが。当然、投稿すればするほど個人情報が漏れるリスクは高まります。

防犯対策の面からはSNSは、やらないに越したことはありません。きちんとリスクを知ったうえで適度に発信しましょう。

グループだからといって安心しない

フェイスブック、LINEなどではグループを作ることができます。仲のよい数人のグループから、趣味やサークルの少人数のグループ、交流や情報交換を兼ねた大人数のグループまでさまざまです。

しかし「グループ」となると安心感が生まれるのか、家族や自宅の写真をアップして家族構成だけでなく、家の間取りまでまるわかりになる人もけっこういます。

世間をにぎわすバイトテロのような悪質な動画や写真ではないので問題ない、と思うかもしれませんが、たった1枚の写真でも個人情報が漏洩し、あなたやあなたの家族が被害にあう懸念があります。

事実、ニュースになった写真や動画は、無名の人が仲間内だけに送ったはずのものが多く、その友人が他人に見せるなどして拡散していきました。

また故意に拡散をしなくても、友人がアカウントを乗っ取られてしまえば、あなたの写真や情報も抜き取られてしまいます。

飲み会やランチ会など、その場で自分のスマホに入っている写真を他人に見せるのはかまいませんが、写真をSNSで送ったり、むやみやたらに個人情報を出したりしないようにしましょう。

他人の個人情報にも注意をする

宅配業者などトラックに運転手の名前が書いてあることも多いですが、珍名なので写真に撮って「面白い名前~」とアップするようなことは当然NG。

他人の車のナンバープレートや表札など、名前がわかるようなものをアップするのも厳禁です。

ほかにも、仲のよい友人同士で撮った写真の背景に、見ず知らずの人がハッキリと顔がわかるようなカメラ目線で写り込むことがあります。「知らない人だからいいや」ではなく、画像をトリミングしたり、スタンプやぼかしを入れるなどして、顔がわからないよう配慮しましょう。

友人の写真は断りを入れてから

食事会や、出かけたイベント先で友人や知人と偶然会うなどして一緒に写真を撮ったりすることもあると思います。「今日、○○さんと一緒にご飯を食べました」「○○さんとバッタリ会いました!」など、気楽な気持ちでアップをする人が多いですが、勝手に写真をSNSに上げるのはNG行為。仕事を休んで来ていたり、ほかの人の誘いを断って来ているなど、第三者に知られたくない人もいるかもしれません。

「肖像権」という言葉を聞いたことがあると思いますが、他人の写真を許可なくSNSにアップするのは肖像権の侵害に。写真を上げるときは、必ず許可を取るのが基本です。

勝手に写真を使わない。著作権に注意する

他人が投稿した写真を、撮影者に断りなく自分のSNSに上げるのはマナー違反です。有名カフェのスイーツや、観光地の写真をあたかも自分が撮ったかのようにSNSで投稿する人がいますが、著作権法を侵害しているのです。

また、投稿する側が自衛として自分が撮った写真にデータでサインを入れるのも有効です。最近では画像加工アプリなどで簡単に写真に文字を入れられます。

直接詐欺とは関係ないように思うかもしれませんが、「当選しました!」とアップしたチケットの写真を、詐欺グループがチケット詐欺に利用したり、顔写真を勝手にパンフレットの体験談に流用したりするなど、あなたの写真が「フリー素材」のように使われることも実際にあるのです。

※この記事は『60歳から絶対にやるべき防犯の基本』京師美佳監修(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


監修者
防犯アドバイザー、犯罪予知アナリスト 京師美佳

元警察署長の父と刑事の姉をもつ防犯のサラブレッド。
2005年、京師美佳セキュア・アーキテクト設立。
2009年、 一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事就任。
セキュリティ全般の知識を生かして、建物の防犯診断、防犯プロデュースなど幅広く活動。Yahoo!ニュース公式コメンテーターや、テレビの情報番組やニュース番組など、メディアにも多数出演。
これまで受けた相談、診断は7000件以上。
講演、YouTube防犯チャンネル、TikTok防犯教室などでの啓蒙活動も行い、YouTube再生64万回、TikTok再生170万回の動画では、若年層からの視聴も多い大人気コンテンツとなっている。
『防犯アドバイザー 京師美佳の 安心生活をつくる自己防衛の心得35ヶ条』(Sweet Thick Omelet発行、2012年)など著書多数。

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