西宮奈央さんのMASAK KIRA-KIRA #15 イカン・カンジョリ

中部スラウェシ・バンガイ諸島への旅で出会ったおやつです。

島から島へと渡る船の中で、行商の女性が「カンジョリ、カンジョリ」と声を上げていました。カンジョリが何だかわからないままに呼び止めたところ、ビニール袋に入った、まゆ玉のような団子を示されました。早速、1袋を買い求め、まだ温かい1個を口にすると、思わず笑みがこぼれるおいしさでした。近くの乗客に「これは何?」と聞いたところ、「バンガイ地域の伝統的な食べ物だ」と言われました。

団子の名前はイカン・カンジョリ(Ikan Kanjoli)。タピオカ粉のでんぷんによるモチモチっとした歯ごたえ、中のアボン・イカンのうまみ、そして、余計な物は加えずにトウガラシだけの「スパン!」と辛いサンバルの組み合わせは、クセになります。

作り方はとてもシンプルです。キャッサバをすりおろして水分を切るのが、若干、手間かもしれませんが、あとは、混ぜて丸めて、揚げるだけ。熱々のうちに、ハフハフと頬張ってみてください。素朴なおいしさに、1つ、またもう1つと手が伸びてしまいます。

材料

<カンジョリ> キャッサバ芋 singkong 500g
タピオカ粉 tepung tapioka 大さじ3
ココナッツミルク santan 60cc
塩 garam 小さじ1
アボン・イカン abon ikan 適量*
揚げ油 minyak goreng 適量

<サンバル> 小粒トウガラシ cabe rawit 10個
塩 garam 小さじ1/2
ライム jeruk nipis 1個

作り方

1. キャッサバ芋の皮を厚く剥き**、おろし金ですりおろす。清潔なふきんで包むか、適量ずつ取って両手で握るようにして、水分を搾り取る。 2. 1に、タピオカ粉、ココナッツミルク、塩を足して、よく混ぜる。 3. 2の生地を大さじ1〜1半ほど取って手のひらに広げ、アボン・イカンを適量載せて、包む。転がしながら、隙間がないように、なめらかに形を整える。 4. 中温に熱した油で、じっくりと、表面がカリッとなるまで揚げる。 5. トウガラシと塩を合わせてすりつぶし、ライム1個分の果汁を搾る。揚げたてのカンジョリをこのサンバルに付けて食べる。

*アボン・イカン:魚のフレーク。作り方は前記事(#14)を参照。
**キャッサバ芋のむき方:適当な長さに切ったキャッサバ芋を片手に持ち、縦方向に、包丁を立てるようにして刃を入れる。そのまま刃を寝かせるように倒すと、厚い皮が実からはがれるので、そのままぐるりとはぐ(#12の写真参照)。

西宮奈央(にしみや・なお)
イギリス出身の写真家の夫とバンドン在住。ご飯は食べるのも作るのも大好き。インドネシアで簡単に作れる料理をご紹介します。

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