メルセデスF1の技術チームには「十分な強さがない」と元CEO。2024年シーズンは困難な年になると予想

 元メルセデスF1チームのCEOであるニック・フライは、かつてチャンピオンシップを制したこのチームには、主要なライバルであるレッドブルと戦って倒すのに十分な強さを持つ技術部門がもはや存在していないと考えている。

 フライは、2002年から2008年までB・A・Rとホンダのワークスチームを率いた後、ロス・ブラウンとともにブラウンGPの成功を指揮、2010年のF1シーズンに先立ってメルセデスに買収された後もブラックリーのチームに留まった。また、メルセデスを前人未到の8年連続コンストラクターズチャンピオンに導いた現チーム代表トト・ウォルフが加入する2013年までチームのCEOを務めた。

メルセデスF1のCEOを務めたニック・フライ

 かつて覇権を握ったメルセデスは、2022年に導入されたF1のグラウンドエフェクトレギュレーションへの適応に苦戦している。2023年シーズンの前半には大胆な“ゼロサイドポッド”のアプローチを放棄し、より従来型のデザインに戻ることを余儀なくされたが、それによりチームは選手権2位の座を獲得することができた。

 メルセデスは現在、その運命を上向かせて、グリッドのトップ集団で主導的な地位を取り戻すためにたゆまぬ努力をしている。しかしフライは、レッドブルとのギャップを埋めるためのメルセデスの能力には懐疑的だ。ましてレッドブルを超えることについては言うまでもない。

「こういうことを言うのは残念だが、私の古巣であるメルセデスの技術チームには十分な強さがないと思う」とフライはウェブサイト『OLBG』に語った。

「エイドリアン・ニューウェイのチームと競争するのは至難の業だ。彼らは素晴らしいチームだが、異なる技術的ルートを選んだことで大きく後れをとっている。改善率は年々高まっているが、1年か2年、違うコンセプトで過ごしてうまくいかないと、問題になる」

「後から考えてそう言うのは簡単なことだが、彼らはレッドブルのような人々がずっと前に学んだことを今学んでいる。追いつくのは難しいことだ」

「彼らが改善すると確信しているが、並外れたものになるかどうかはわからない。メルセデスが一貫してレッドブルを打ち負かすとは思えない。私は彼らに深い愛着があるので、認めるのはつらいが、今年は難しいものになると思う」

2023年F1第10戦オーストリアGP セルジオ・ペレス(レッドブル)&ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 一方フライは、フェラーリはレッドブルと互角の戦いができると考えている。

「フェラーリはこれからも改善していくと思う。フレデリック・バスールはチームリーダーとして非常に経験豊富であり、イタリアのメディアからのプレッシャーからチームを守るだろう。彼はその点でよい仕事をし、チームを落ち着かせると思う。極めて冷静にならなければいけない」

「私はフェラーリがレッドブルをプッシュする候補だと考えている」

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