成山剛(sleepy.ab)- 音楽と趣味の写真がリンクしてきた2024年、東京での初ライブは1月31日(水)新宿LOFT

新宿LOFTと言えば“ステージ袖で感じる緊張感”

──SNSで“年始から体調を崩し、やっと動けそうです”といった発信を見ておりました。いま、体調はいかがでしょうか?

成山:ようやく声が出せるようになりました。喋るとすぐ咳き込んじゃう感じで、咳がひどくて結構長引いじゃったんです。もう、あと1日2日もすれば大丈夫だと思います。

──発信を見て心配されていた方もいると思いますので、まずはそのことからお尋ねしました。では、sleepy.abが新宿LOFTで初めてライブしたときというのは遡っていつでしょう?

成山:結構、前ですね。テレビ番組の収録で、dipとMUSIC FROM THE MARSと一緒だったのがLOFTでの初ライブでした。ファーストアルバム(『face the music』/2002年発表)が出た頃で。初めて東京に来たときだったのかなぁ、下北沢SHELTERでのライブがあって、その後にLOFTでのライブ、と立て続けにあって。“LOFTとかSHELTERって、有名なとこだよね?!”って言いながら。北海道でも同じ場所でしかライブをしていなかったし、東京のいろんなライブハウスもまだ全然知らなかったけど、“LOFTと言えば、スピッツもライブやってたとこだ!”みたいな感覚でした(笑)。

──その当時から今に至るまで北海道拠点で続けておられますよね。東京に移るという考えは全くなかったのでしょうか。

成山:そうですね、そんな考えはそもそもあまりなかったです。東京に行っちゃったらバンドを辞めちゃいそうだなっていう感覚が、何となくメンバー皆にあって(笑)。札幌から東京に行くのも楽しいし、だから(東京を)拠点にはせずに、いつ行っても楽しい東京であってほしいっていう感覚がありましたね。

──だからこそ昨年25周年を迎えて、今までバンドが続いている部分もあるのかもしれませんね。

成山:それは絶対に、そうですね。

──では、新宿LOFTでの思い出を聞かせてください。

成山:ソロでもバンドでもいろいろな形でライブをやらせてもらってますけど、楽屋からステージに行く袖のイメージがすごく強くて、新宿LOFTと言えばそこを思い出しますね。あの場所での緊張感ってあまり他にはなくて、不思議な感じがして。袖から上に上がって裏口に繋がってたりとか、ちょっと新宿っぽい感じが良いなぁとか思ったり(笑)。そして(出演した)一つ一つの企画が結構、濃かったですね。中でもPolaris、People in The Boxとの『三つ巴LIVE』(2015年)、そこでPolarisのオオヤ(ユウスケ)さんとは初めましてだったんですけど、そこからオオヤさんと一緒にライブをすることが多くなって。ご縁ができたこともあって、すごく良い1日でしたね。その次の年に(現在のSpotify)O-EASTでのイベント(=SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY MUSIC FES DREAM MATCH 2016)があって。早いですね…コロナがあったからワープしちゃった感じみたいになってますね(笑)。

──O-EASTでのイベントのことは今もスタッフ内でもよく話題に上がりますが、振り返ってこのときはいかがでしたか?

成山:まず楽屋が、スキマスイッチさんと俺っていう(一同笑)。同い年で、フェスとかで会ったときにちょっと話したことはあったんですけど。サポートギターが北海道出身の外園(一馬)くんで、楽屋に最初に外園くんが入ってきて“あれ?!”って思ったら、“びっくりさせようと思って言ってなかったんですよ〜”なんてことがありまして。だから良い雰囲気で過ごせました。このときは2ステージあって結構、大きなステージで。ソロで出たんですけどアコースティックで中々、こんなに見晴らしが良い大きなステージでやることってないし、あの雰囲気はすごく面白かったですね。

曲をたくさん作りたい、もっと音楽がしたい

──“コロナがあったからワープしちゃった感じ”という言葉が出ましたけど、成山さんはコロナ禍はどうされてましたか?

成山:これまでの(音楽)活動も、ゆるくと言う感じでペース自体そんなにガツガツしてないですし、コロナでも変わらないと言えば変わらなかったですね。ギター(山内憲介)が函館で、ベース(田中秀幸)が岩見沢に住んでるのもあって、札幌でライブをしてる感じが多かったですかね。去年は25周年だったので、東京・大阪・札幌とワンマンツアーはやりましたけどね。大所帯で北海道から出るのは“海は渡るな”みたいな感じで危惧されるようなところが(コロナ禍の)初めの頃にはありましたし。1人では割といろいろな街に行きましたね。

──sleepy.abのメンバー3人も広い北海道の中でそれぞれ暮らしておられる場所が別なのですか、集まるのも大変そうですね…!

成山:ベースは元々その場所で、ギターは7年ぐらい前から函館に住んでるんですけど、札幌から車で5時間ぐらいかかりますからね。ライブ前には定期的に札幌に集まってもらって、長い時間バーっと一緒にやったりして。制作は各々が自宅でやりつつ、最後はスタジオに入ってリズム録りをする、みたいな感じで。基本的にこれまで、全然変わってないです。

──音楽的なところはコロナ禍の影響は受けずに過ごされてきたのかもしれないですが、成山さんのSNSを拝見すると自然を写したお写真が増えた感じがしまして。成山さん個人としては変化があったのかな…と思ったりしますが?

成山:実家が根室で、札幌から車で10時間ぐらいかかるような所で。正月とか、実家に帰る度に写真を撮ってますね。それこそ、コロナ禍でカメラにハマった感じなんですよ。配信ライブが増えて自宅から配信することもあって、“カメラでも買おうかな”って買ったら激ハマりしちゃって。カメラになんか全然、興味かったんですけどね(笑)。多分、音楽でアウトプットができないから別のアウトプットを探してハマったんでしょうね。音楽も作るには作ってたんですけど、マインドがコロナと言うか…歌詞もコロナとリンクしていくような感じで何か嫌だなっていうところもあったりして、一旦しばらく止めてちょっと違う方を向いてみよう、と。そういう感じにはなっていたのかな、精神的に逃げるような感じもありつつで。カメラなんか今まで買ったこともなくて、それこそ写ルンです(=使い切りカメラ)すらも買ったことがなかったのに。それでカメラにハマったら、今度は(カメラについて)話せる人がいないんですよ(一同笑)。レンズももう、30〜40本ぐらい買いましたからね。

──すごい! でもそれだけハマっても、あくまで音楽という柱は揺らがないんですよね?(笑)

成山:そうですね、そうであって欲しいですけどね(笑)。

──今後、アルバムのジャケットやライナーノーツでお写真が使われたり、なんてことを期待します。

成山:バンドのグッズで、自分の写真を使ったTシャツとかを発売してるんですよ。確かにジャケットとかもね、いつかやってみたいですね。

──ぜひ! 楽しみにしていますね。さて、2024年・成山さんのライブスタートはいつでしょう?

成山:東京でのライブは新宿LOFTでの公演になりますけど、その前に、札幌に新しくできたAOAO(アオアオ)という水族館で、ギターの山内と2人で“成山内”でライブをやります(1月27日『AOAO NIGHT #1』)。水族館での(ライブ)イベントの一発目に選んでもらったんですけど、この水族館は去年の夏にできて。そのオープン記念で札幌のChima(チマ)っていうアーティストがライブをしたんですけど、そのときの写真を俺が撮ってたんですよね。クラゲとかペンギンの写真もそのときにいろいろと撮ったりして。

──先ほど“逃げ”という言葉も仰ってはいましたが、結果としてカメラに出会ったことは良い方向に向いているのではないでしょうか。

成山:そうですね。音楽でも写真でも、何かしらリンクしてきて面白いなと思いますね。もしかするとこれ(=水族館でライブをすること)も、カメラ始まりかもしれないです(笑)。

──水族館でのライブの後・1月31日(水)は成山さんソロで新宿LOFTでのライブです。この日はどんなライブになりそうでしょうか?

成山:共演する皆、対バンをしたことがありますし、GOOD BYE APRILは自分たちのラジオ番組で(sleepy.abの)曲をかけてくれているみたいですし。皆それぞれ歌心がすごくて曲が良いなと思うアーティストばかりなので、自分も刺激を受けたいし、刺激を受けるだろうなという日だと思いますね。コロナというものがあってからはワンマン(でのライブ)がどうしても増えちゃったんですよね。3〜4バンド出るようなイベントを企画する方もリスクがあると思うし、こういったイベントが減って誘われることも減って。でもこの日は個性的なアーティストが集まってイベントを企画してもらったことがすごく嬉しいし、ぜひ皆に見てもらいたい日だなと思ってますね。

──最後に、sleepy.abとして今年はどんな1年になりそうでしょうか?

成山:バンドは去年、(コロナ禍以降では)ようやく動き出して東京でも何度かライブをして。東京でのワンマンライブは久しぶりですごく良かったのと、若いお客さんが増えてた印象があるんですよね。Spotifyとかのサブスクで今まで届かなかったところにも届いた部分があるのかなぁ、と思ったりしていて。バンドでも結構、いろいろやれたら良いなとは思ってますね。曲を作っているので、それを発表する場所を考えたいなと。

──となると、今年はリリースがありそうな予感が…?!

成山:そうですね、配信という形でもまずは(楽曲を)発表できたらと思ってますね。曲自体はあるので、それをどうまとめようかなと試行錯誤して迷っているところです。

──そして成山さんご自身は、どんな1年にしたいでしょうか?

成山:(ソロとしてのライブで)1カ月に1回ぐらいは、東京に行く予定があったりする…のかな。ソロとしても曲が作れてなかったですし、曲をたくさん作りたい…うん。もっと、音楽がしたいですね。写真を撮っていたら、すごく音楽をしたくなる反動があったりして、音楽を語る上で写真・カメラも一つになってきているなという感覚があるんですね。写真を撮っていても音を想像する、と言うか。カメラと出会ったことは意味があることなんだろうな、と思ってます。

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